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「前任者がやらかしたことを検証してはいけない」 なぜ日本の会社でタブーなのか:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
「前任者がやったことを細かく検証してはいけない」――。多くの日本企業でこのような慣習があるが、なぜ責任の所在をうやむやにするのだろうか。背景を探っていくと……。
なぜ検証しないのか
では、こういう現実がある中で、日大は何をすべきだったか。本当に影響力を排除したいのなら、「根本要因」を検証して組織内外で共有しなくてはいけない。つまり、なぜ田中氏がここまで絶大な権力を握るに至ったか、なぜ誰も物申せなくなったのか。日大のガバナンスの問題点を、第三者を入れて徹底的に検証して、それを白日の元にさらすのだ。
ゴーン問題が発覚した際、日産が「ガバナンスの問題点に関する根本要因の解明」のため、第三者からなる「ガバナンス改善特別委員会」を設置したように、今回の背任疑惑だけではなく、長年続いた田中支配の「根本要因」にまで深く切り込むのだ。これはガバナンスに難ありの組織が立ち直っていくには、避けては通れないプロセスだ。
しかし、現時点での日大からはそれをやろうという意気込みは伝わらない。「再生会議」という言葉の響きからも分かるように、田中氏の問題はさっさと終わらせて、「日大再生」という先々の問題に目を向けさせたいという意図がありありと伝わってくる。
本気で組織の再生を目指すのならば、まずは組織のどこに問題があったのかを明確にすべきだが、そこはできる限りうやむやにしたい、という日大幹部たちの祈りにも近い願望が「再生会議」という表現に集約されている。田中氏という「前任者」のやったことを深く、細かく検証することをタブーとする日本文化のなせるワザだ。
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