2015年7月27日以前の記事
検索
コラム

「4%賃上げ要求」は妥当か? 賃上げ騒動に覚える3つの違和感これからの「労組」に求められるものは(3/4 ページ)

政府と連合が中心となり、賃上げを促す動きが出てきている。筆者は、この間の動きをウォッチしながら覚えた違和感があると解説する。果たしてその違和感の正体とは。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

そもそも一律で賃上げすべきなのか

 違和感の3点目は、賃上げそのものの是非です。

 ほとんどの労働者は、賃上げを歓迎すると思います。しかし、主婦層のように扶養枠内で働くことを希望する労働者などにとっては、賃上げが望ましくない場合もあり得ます。

 例えば、パートタイマーとして年収130万などの扶養枠ギリギリでシフトに入っている場合、一律に賃上げが行われてしまうと扶養を外れるか、勤務条件を変えて扶養内に収めるための対応が必要となります。

 週3日勤務が基本だった人は週2日へと勤務日数を減らしたり、1日当たりの勤務時間を短くしたりしなければなりません。そのことがネックになり、かえって仕事が続けづらくなってしまったり、程よくシフトを組むことができず、逆に年収が下がったりするケースもあり得ます。

 また、中には仕事自体が生きがいで、扶養枠内で収めつつ勤務日数や勤務時間を減らすことは望まない労働者もいます。扶養枠という仕組みを継続すべきか否かについては議論の余地があったとしても、現行制度の中では賃上げを望まない労働者もゼロではないのです。

少数派にも目を向けるべき

 ここまで見てきたような賃上げに関連する3点の違和感は、いずれも労働者の中で少数派に分類される人の立場なのかもしれません。しかし少数派であっても、労働者であることに変わりはないはずです。

 つまり、労働者と一言で括ってはいるものの、労働者同士の利害関係は必ずしも一致しておらず、連合の要求方針を見る限り、少数派の労働者の声が十分に反映されているとはいえないということです。では、連合など労働組合が声を代弁している労働者とは一体誰のことなのでしょうか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る