2年の猶予ができた今こそ、電帳法はインボイスを見据えて準備を進めるべきワケ:帳票ベンダー大手に聞いた!(1/4 ページ)
2021年12月11日、来年1月1日より施行される電子帳簿保存法(以下、電帳法)の「電子取引」義務化に2年の猶予が設けられることが正式に発表され、話題になっている。思いがけず対応スケジュールにゆとりが出てきた今こそ、あらためて考えたい、電帳法×インボイス制度対応へのベストプラクティスとは?
2021年12月11日、来年1月1日より施行される電子帳簿保存法(以下、電帳法)の「電子取引」義務化に2年の猶予が設けられることが正式に発表され、話題になっている。
そもそも電帳法には、「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」と3種の区分がある。このうち電子取引は22年1月より義務化(正確には、電子取引データの紙保存の廃止)とされており、従わない場合は「青色申告や連結納税の承認取り消し処分」など罰則の対象となる……予定だったが、今回の猶予発表により、義務化は22年1月1日あらため、23年12月31日まで引き延ばされた形だ。
施行まで1カ月もないギリギリのタイミングでの発表だったため、「今さらなんだ?」という戸惑いの声も散見されるが、「対応しないでよい」となったわけではない。準備が追い付いていなかった企業は、猶予期間を使って電子取引への対応を粛々と進めるべきだが、思いがけず対応スケジュールにゆとりが出てきた今、あらためて見直したいのが、23年10月に施行を控えるインボイス制度への同時対応である。
インボイスに電帳法――帳票ベンダー大手が見る電子文書の今
今回、インボイス制度、そして電帳法(電子取引)をおさらいしつつ、双方合わせた対応策を検討するに当たって取材協力を仰いだのは、帳票ベンダー大手であるウイングアーク1stだ。
ウイングアーク1stは、帳票・文書管理ソリューション「Business Document Solutions(以下、BDS)」と、データにより新たな価値をもたらす「Data Empowerment Solutions(以下、DE)」の2軸でサービス展開を行うIT企業。帳票ベンダーとしては圧倒的な国内シェアを誇り、BDS事業では市場の約67%を独占している。帳票、ドキュメントデータ管理のプロともいえる同社の、ペーパーレス化を中心とした業務フロー改革、その軌跡は以前記事でも紹介した。
同社で取締役 執行役員CFOを務める藤本泰輔氏は、「当社の売上構成はBDSが6割、DEが4割になりますが、ここ最近で需要が増しているのはやはり帳票・文書管理であるBDSです」と話し、次にようにその背景を説く。
「帳票・文書管理ソリューションが伸長している要因は、やはりコロナ禍が加速させたペーパーレス化、そしてもちろん電帳法対応の影響も大きいでしょう。ただし、これらはあくまできっかけでしかないと、われわれは考えています。
今後は『紙』文書から脱却し、電子的な企業間取引に注力することで、業務改善を図りDXを促進する――現在、多くの企業がデジタル化による企業競争力強化を目指しています。当社のソリューションは、確かに時流が追い風となりニーズが増していますが、逆にわれわれもDX推進の背中を押す帳票ベンダーとして、ともに前進していきたいと考えています」
では、ウイングアーク1stが考えるインボイス制度と電帳法への対応、ベストプラクティスとはどのようなものなのだろうか?
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