2年の猶予ができた今こそ、電帳法はインボイスを見据えて準備を進めるべきワケ:帳票ベンダー大手に聞いた!(4/4 ページ)
2021年12月11日、来年1月1日より施行される電子帳簿保存法(以下、電帳法)の「電子取引」義務化に2年の猶予が設けられることが正式に発表され、話題になっている。思いがけず対応スケジュールにゆとりが出てきた今こそ、あらためて考えたい、電帳法×インボイス制度対応へのベストプラクティスとは?
小野氏は「今後は、適格請求書に記載されている登録番号が『登録申請を行った企業のものかどうか』の確認が必須です。既に国税庁では『適格請求書発行事業者公表サイト』というWebサイトを立ち上げており、検索することも可能となっています。
このとき、適格請求書(登録番号)を電子的に受領してるのであれば、公式に配布されている『公表システムWeb-API』を利用することで、システム的に番号参照を行える環境も構築されました。『紙』受領になると、手打ちで検索をかけることになるため、そういった意味でも、電帳法対応することで――いえ“しなければ”、業務負荷が今までより大きくなることは明らかです」と話し、インボイス制度対応におけるデジタル化の重要性を強調する。
なお、適格請求書発行事業者の登録は、「あとから取り下げることもできる」(小野氏)という。そのため、主要な取引先の登録番号を初回のみ確認するだけでいいというわけではなく、毎回もしくは定期的な確認が必要だ。
名護屋氏は「インボイス制度が導入されたあとでも、『紙』の請求書は残り続けるはずです。今後は電子で受領した請求書と『紙』で受領した請求書が混在することになりますが、それらをバラバラに管理していては、情報ガバナンスの面でも、税務監査に備える意味でも好ましくありません。
電子取引の保存要件には、『検索機能の確保』『訂正・削除の防止措置』『速やかに出力できる環境』とありますが、請求書だけではなく、見積書や注文書、領収書など、企業内のさまざまな電子文書を一元管理し、さらに関連付けることで、税務監査官がスムーズに検索・確認を行えるようになり、より高度に要件を満たし業務効率化を図ることが可能になります」と話す。
インボイス制度×電帳法、スムーズに両対応するには?
例えば同社の「invoiceAgent」は、企業間の文書をデータ化し、クラウド上でセキュアかつ高速に流通できる“プラットフォーム”として提供されている。文書データ化を担う「TransPrint」、電子契約業務を担う「WingSign」、そして納品伝票のデータ化を担う「DocketX」※4と3つのサービスで構築されているソリューションだ(個別契約も可能)。
※4 サービス提供準備中
中でもTransPrintは、ドキュメント管理ソリューション「SPA Cloud」をベースとしたもので、請求書・納品書・検収書といった帳票を電子文書として発行したり、取引先からの帳票もオンライン上で受領できる、電子取引やインボイス制度に直結する機能を有するサービスとなる。
「ベースとなっているSPA Cloudでは、JIIMA※5認証を取得しているため、電帳法に関しては鉄壁の守りを築けます。WingSign、DocketXで扱う電子文書も全て関連付けし一元管理ができるため、監査に備えるという意味だけではなく、ドキュメントデータ全体を使ったデータ活用に生きるはずです」(名護屋氏)
※5 日本文書情報マネジメント協会のこと。電帳法対応ツール、サービスなどの認証業務を担う
名護屋氏は、スムーズにインボイス制度、そして電帳法に対応していくためには、いかに「業務の変更を最小限に抑え、電子文書を一元管理をするか」が重要だと話す。TransPrintでは、OfficeファイルやPDFのほか「紙」で届いた請求書などもPDFにして登録するだけでOCRによりデータ化。既存システム上で管理している電子文書もAPI連携で一元管理し、まとめてインボイス制度、電帳法対応が可能となるという。
複雑な法改正や新しい制度導入により、混乱が続く帳票管理。それを担う財務経理の負担は増すばかりだが、だからこそ名護屋氏が指摘するように、現システムのリプレイスや改修、何より業務フローを大きく変えることなく、あらゆる電子文書をまとめて管理することは、インボイス制度、電帳法対応のカギとなるはずだ。
電帳法の電子取引義務化まであと2年。これら対応ポイントを念頭に、自社に適したソリューション選定をじっくり進めていきたい。
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