新幹線だけじゃない! JR東海の「在来線」はどうなってるのか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/11 ページ)
JR東海といえば「東海道新幹線を運行する会社」「リニア中央新幹線を建設する会社」というイメージが強い。報道も新幹線絡みが多い。しかしほかのJR旅客会社と同様に在来線も運行している。そして「新幹線ばかり優遇して、在来線の取り組みは弱い」という声もある。本当だろうか。
- 御殿場線:国府津〜沼津、60.2キロメートル、平均通過人員7146人/日
旧東海道本線で、熱海〜丹那トンネル区間が開通後はローカル線となり、戦時中は資材供出のため単線化された。東京から箱根・富士方面の観光路線でもあり、小田急ロマンスカーも御殿場まで乗り入れる。
平均通過人員はJR東日本の水戸線の7059人/日と同程度。JR西日本の伯備線の5969人/日より多い。国府津にはJR東日本の車両基地があり、短い区間だけど入出庫線が御殿場線と平行する。東京から15両編成の通勤電車がやってきて、御殿場線の2両〜5両編成と並ぶ。輸送量の格差を感じる場面だ。
- 太多線:多治見〜美濃太田、17.8キロメートル、平均通過人員5356人/日
岐阜県の南部、中央線の多治見と高山線の美濃太田を結ぶ。岐阜市、名古屋市の通勤圏の境界のような位置だ。通勤時間帯は高山線に乗り入れて岐阜へ直通する列車もある。日中は1時間当たり上下2本ずつというローカル線だ。平均通過人員はJR東日本の日光線の5541人/日、JR西日本の桜井線の5354人/日が近い。
- 高山線:岐阜〜猪谷、189.2キロメートル、平均通過人員3564人/日
高山線の岐阜〜富山間のうち、岐阜県と富山県の県境、猪谷駅までがJR東海の管轄だ。岐阜〜美濃太田間は岐阜市への通勤路線、美濃太田〜猪谷間は飛騨・高山への観光路線かつ、岐阜〜富山間の都市間輸送を担う。平均通過人員も美濃太田駅を境に大きな差があるとみられる。JR東日本の左沢線の3384人/日、JR西日本の津山線の3623人/日が近い。比較対象もローカル線になってきた。
- 身延線:富士〜甲府、88.4キロメートル、平均通過人員3046人
東海道線の富士駅と中央線の甲府駅を結ぶ。富士〜富士宮は複線化されており、身延山への参拝客が多い。甲府〜鰍沢口間の運行本数も多い。しかし西富士宮〜鰍沢口は閑散区間だ。平均通過人員はJR東日本の大糸線の3179人/日、JR西日本の舞鶴線の3272人/日が近い。
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