「急行」や「快速」で止まる駅の基準は? 首都圏のケースを見る:鉄道も商品(2/4 ページ)
京王電鉄が「準特急」を2022年春に終了し、特急に統合する。そもそも鉄道会社にとって、停車駅を決める基準は何だろうか。
重要な駅に停車する
例えば小田急電鉄(以下、小田急)を見てみよう。小田急には快速急行、急行、通勤急行、準急、通勤準急、各駅停車という運賃だけで利用できる列車種別と、特急という特急料金が必要な列車種別がある。特急は「ロマンスカー」の名で親しまれている。
快速急行は新宿を出ると、千代田線との接続駅である代々木上原、京王井の頭線との乗り換え駅である下北沢に停車する。この両駅は、ここから乗っても座れない可能性が高く、むしろ都心へ向かう列車から降りて乗り換える人のために停車していると考えている。利用者の利便性を考えたがゆえの設定である。
なお、下北沢から登戸まで停車しない。この間の利用者をまったく無視している。登戸は南武線との接続駅であるが、以前は停車しなかった。その後は主要駅に停車する。ここでも速達性を重視している。
一方で急行は、下北沢から先、経堂(一部は通過)、成城学園前と停車し、準急や各駅停車などとの接続を図る。遠方に行く利用者と近い距離の利用者を分けているのだ。
停車駅を決める基準は
ちなみに、快速急行と急行は続行していることが多い。
輸送上の重要な駅に停車することで、利便性を高め、速達性を確保する。一方でそれより下位の種別は、より下位の種別の列車に人を送り込む役割をしている。
それよりも上等なサービスを遠距離の利用者に提供したい、と小田急は考えている。そこで特急ロマンスカーである。特別料金を徴収する代わりに座席指定を、というのが小田急の考え方である。輸送上の拠点かどうか、利用者が多いかどうか、各駅停車などの列車に人を振り分けられるかどうかで、停車駅を決めている。
言うまでもなく、小田急の場合は代々木上原から登戸までの複々線の効果が大きい。
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