「急行」や「快速」で止まる駅の基準は? 首都圏のケースを見る:鉄道も商品(3/4 ページ)
京王電鉄が「準特急」を2022年春に終了し、特急に統合する。そもそも鉄道会社にとって、停車駅を決める基準は何だろうか。
列車種別ごとに停車駅を分ける西武鉄道
ラッシュ時は利用者が多い。鉄道会社の中には最優等列車を運行せず、小まめに緩急接続をするなどの対応を取っているところが多い。
そんな中、西武鉄道の西武池袋線は優等列車の停車駅分散を行っている。列車種別を細かく設定し、その種別ごとに停車駅を振り分けることで、混雑緩和を狙うサービスだ。
西武池袋線は、快速急行/Fライナー、急行、準急、各駅停車をふだんの時間帯は運行している。これで、緩急接続型のダイヤを組んでいる。このほかに特急料金が必要な特急がある。
しかし通勤時間帯には、通勤急行、快速、通勤準急といった列車が運行される。これらの列車種別は、それぞれ別々の駅に停車している。所沢〜石神井公園間で見ると、通勤急行は所沢を出ると東久留米、保谷、大泉学園、石神井公園と停車する。快速はひばりヶ丘まで各駅に停車し、石神井公園に停車。通勤準急は大泉学園まで停車したのち、石神井公園を通過する。このようにして乗車駅を分散させているのだ。
ちなみに、西武池袋線で停車する列車が多いのは石神井公園とひばりヶ丘である。練馬〜石神井公園間は複々線であり、石神井公園発の列車も多い。駅周辺には西武HD系列の商業施設が充実しているだけではなく、練馬区役所の石神井庁舎や、図書館もある。
ひばりヶ丘は駅ナカに西武HDの商業施設があるだけではなく、「ひばりが丘PARCO」や西友など、以前はセゾングループだった商業施設も充実している。こういうものも重視して停車駅は設定されている。
とはいうものの、他線との接続駅で商業施設が充実しても通過している駅があるという声が出てくるかもしれない。その代表格が、JR東日本中央線の吉祥寺である。
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