「急行」や「快速」で止まる駅の基準は? 首都圏のケースを見る:鉄道も商品(4/4 ページ)
京王電鉄が「準特急」を2022年春に終了し、特急に統合する。そもそも鉄道会社にとって、停車駅を決める基準は何だろうか。
あえて「中央特快」が通過する吉祥寺
中央線の吉祥寺といえば、「中央特快が停車しない」駅である。しかも吉祥寺は、京王井の頭線との接続駅である。もちろん駅ナカだけではなく地域の商業施設の充実ぶりは群を抜いている。
中央線の中央特快が吉祥寺に停車しないことについて、「渋谷〜吉祥寺間の移動にJRを使わせるためだ」などという話が出てくる。ただそれは、夕方の通勤快速が荻窪や吉祥寺に停車するのと、整合性がとれなくなってしまう。
以前、中央特快が吉祥寺に停車しない理由をJR東日本に問い合わせた際に、近距離の客と遠距離の客を分離するため、ということを言われた。
つまり、JR東日本としては東京や新宿から国分寺や立川、さらにその先に行く人に中央特快に乗ってもらいたいのに対し、それ以外の人は快速に乗ってもらいたい考えなのだ。その視野には、京王井の頭線の利用者は入っていない。
さらにいえば、京王側からしても、京王井の頭線を吉祥寺で降りてすぐに中央線に乗り換えられてしまうよりも、「キラリナ京王吉祥寺」などの商業施設を利用してほしい考えもある。JR東日本も同じで、「アトレ吉祥寺」を乗り換えの際に利用してほしい、という考えはあるだろう。
しかも中央特快を利用して先に行く場合、吉祥寺の次の三鷹で、同一ホーム上で中央特快に乗り換えられるのだ。その先を急ぐ人はそちらを利用すればいい。
その意味では、あえて中央特快を吉祥寺に停車させないというのは、戦略的であり、人々の移動の分散というのでも、理にかなっていると考えられる。
商品としての鉄道は、列車種別によりサービスが分けられ、それぞれにその必要性があって存在する。通過駅の設定にも、停車駅の設定にも、理由があるのだ。
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