LDHのファンアプリはなぜ、海外ユーザーを5倍に伸ばしたか サイバーエージェント専務が手掛ける「エンタメDX」:きっかけは町田啓太さんの“リクエスト”(2/3 ページ)
「次世代のエンターテインメントを作りたい」──サイバーエージェントとLDH JAPAN、両者の思いから生まれたというファンアプリ「CL」。海外MAUを1年間で5倍に伸ばした理由とは。
エンジニアが主体性を持って開発
CLは、LDH側がアーティストに関するクリエイティブを担当し、サイバーエージェントはシステムやUI、マーケティングを担当。両者の強みと弱みを互いに補完するような形で運営されている。「LDH TVの会員数やビジネス規模を超えるのが最低限」(山内氏)という覚悟で始めたが、無事にノルマを超えてロケットスタートを切った。
LDH TVを継承せず、全く新しいサービスとして始めることはビジネス的に大きなリスクを伴う経営判断だったが、「エンジニアオリエンテッド」(エンジニア第一主義)で決断した。
「いいサービスを作るためには、エンジニアが主体性を持ってやりたいと思えるかどうかが大事なポイントだと考えていました。受託というよりは、『自分たちでこのサービスを世界に流行らせよう!』という気合を持ってできるような環境を用意したかったのです」(山内氏)
山内氏は「IP(知的財産)×エンジニアリングというのが両者のやりたい形」と語ったが、発注先と外注先という関係になると、外注先は言われたこと以外やらないという姿勢になりがちだ。両者が対等な関係で、エンジニアがモチベーション高く、自分たちのやりたいものを作っていくことが良いサービスにつながると考えた。
アプリを介したファンコミュニティーサービスは、今、多くのアーティストが取り組んでいるが、CLが心掛けているのが「ユーザビリティ」だ。「アーティストとの距離が近くなる、好きな人たちが好きな情報にたどりつける」ことを重視して、シンプルなUIに仕上げた。また、国境を超えてサービスを展開し、日本でアーティストの発信した内容が海外にもすぐに届けられるようにした。
もちろんファン目線も忘れない。「LDHさんとの会議で出てくるのは、ファンに対して目線を置いて、ずらさず価値提供していくということ。事業者目線だと目標や計画があり、それを達成するためにこういうことをやりたいとなりますが、ファン目線ではそれが相反するものだったりもします。ここを、つじつま合わせてやっていくのが非常に大事だと思って日々、開発しています」(山内氏)
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