日本は遅れてる!? 中学受験ドラマ『二月の勝者』をきっかけに考える、教育とビジネススキル:背景を考察(3/5 ページ)
中学受験を扱った『二月の勝者〜絶対合格の教室〜』がドラマ化された。新しい時代に対応した問題を出す中学・高校が増えているという。教育の観点からこれからのビジネススキルを考察する。
進まない次世代教育へのシフト
さて、表中で「コンピテンシー」という言葉を赤でハイライトした。これは、国際化と高度情報化の進行とともに多様性が増した複雑な社会に必要とされる能力概念である。「社会を生き抜く力」ともいわれる。OECD(経済協力開発機構)が1990年代後半から2000年初頭にかけて実施した国際研究プロジェクトの成果として発表された。その直後から、欧米やシンガポールなどの教育方針に大きな影響を与えている。それがようやく日本においても、大学入試改革や中高入試における思考コードC領域の出題につながっているのだ。しかし、よくよく考えると、22年を迎えようとしており、21世紀が始まってから20年以上経過してしまっているではないか。我が国における次世代教育へのシフトがあまりにも遅くはないだろうか。
この点に関連して、私には大きな懸念がある。私はこのコラム連載の第1回で、日本の起業数が米中印などに比べて極端に少ないことを紹介した(参考記事:M&Aの失敗に学べ! 今こそ経営人材の育成に舵を切るタイミング)。第2回では、デジタルトランスフォーメーションの進行に伴い発生してくる「次世代ビジネス」においてなかなか決断ができず、指数関数の曲線の先にあるような未来を主導できないでいることも指摘した(参考記事:ASEANでモテモテだった日本の企業 その将来に漂う暗雲)。これらのことは、欧米に比べて21世紀型スキルの教育が20年遅れている現況と大いに関係があるのではないかと個人的には考えている。複雑性の増したこの社会を生き抜く力が、他国に比べて相対的に劣化しているのだとしたらどうなるか。ビジネスの世界でリーダーシップをとっていくことも難しくなってしまうので、早急なキャッチアップが必要である。
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