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2022年、鉄道はどうなる? 5年半ぶりの「新幹線開業イヤー」杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/9 ページ)

鉄道需要は回復傾向にある。緊急事態宣言終了後の鉄道の混雑は、筆者も体感しているが、変異型オミクロン株は予断を許さない状況だ。それでも鉄道業界の決定事項として、「西九州新幹線開業」「JR只見線全線再開」「新型車両導入」「減便ダイヤ改正」がある。これらの行方と、鉄道の国内需要について考えてみたい。

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 西九州新幹線の開業に合わせて、JR九州は在来線区間に観光列車「ふたつ星4047」を運行する。長崎発武雄温泉行きは大村線経由、武雄温泉発長崎行きは長崎本線経由だ。博多から西九州新幹線を見ると、乗り換えが増えて値上げで……となる。


長崎と武雄温泉を結ぶ新観光列車「ふたつ星4047」外観デザイン(出典:JR九州、「ふたつ星4047」外観デザインについて(PDF)

 しかし、大阪や東京から航空機で長崎へ訪れ、長崎を拠点とすれば、長崎観光プラス佐賀県の温泉にも行ける。西九州新幹線は、武雄温泉〜長崎間だけでも観光業界にとってプラスになるだろう。「新幹線開業効果で航空便が増便される」という珍しい現象が起きるかもしれない。

 こうなると新鳥栖〜武雄温泉間は新幹線がなくても良いような気がしてきた。懸念すべきは大阪から長崎へ訪れる人々の動向だ。以前特急「かもめ」を乗り通したとき、新幹線の新鳥栖から乗ってくる人が多かった。

 京阪神の人々は「今後は乗り換えが2回になってめんどうだ。長崎へ飛んだほうがいい」と考えるかもしれない。そうなると「行きか帰りに佐賀市によってみようか」とはならない。佐賀県中心部の観光経済の落ち込みが心配になってくる。


「ふたつ星4047」の内装(出典:JR九州、「ふたつ星4047」外観デザインについて(PDF)

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