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2022年、鉄道はどうなる? 5年半ぶりの「新幹線開業イヤー」杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/9 ページ)

鉄道需要は回復傾向にある。緊急事態宣言終了後の鉄道の混雑は、筆者も体感しているが、変異型オミクロン株は予断を許さない状況だ。それでも鉄道業界の決定事項として、「西九州新幹線開業」「JR只見線全線再開」「新型車両導入」「減便ダイヤ改正」がある。これらの行方と、鉄道の国内需要について考えてみたい。

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 JR九州は21年8月に在来線の特急料金を値上げすると発表した。22年4月から適用される新料金で計算すると、在来線特急の博多〜長崎間は5590円になる。西九州新幹線経由の場合は6680円。これは西九州新幹線区間を実際の距離で計算し、特急料金の近似値について九州新幹線の博多〜新大牟田を参考にした。

 西九州新幹線経由は全区間在来線より1000円以上の値上げになる。ただし制度的には割引が行われるはずだ。九州新幹線が新八代〜鹿児島中央間で先行開業したときは、在来線区間と新幹線区間の特急料金をそれぞれ2割引として合算した。

 これを博多〜長崎間でも適用すると5910円となり、値上げは320円にとどまる。ちなみに九州新幹線で廃止された在来線特急料金の乗り継ぎ割り引き制度を復活させた場合でも5910円となった。

 320円の値上げで、乗り換えあり。対面方式であっても乗り換えは面倒なものだ。しかし所要時間の約1時間20分は便利には違いない。博多(福岡天神)〜長崎間の高速バスは約2時間7分で運賃は2620円。

 現在の「かもめ」と所要時間は変わらず料金は半分。高速バスの方が優位といえる。しかし秋からの西九州新幹線は運賃2倍で所要時間半分となる。

 福岡空港〜長崎空港の航空便はない。国内航空便は「鉄道で4時間以上かかるところ」を目安として整備されたから、この区間は対象にならなかったようだ。飛行時間は30分以内だろうけれども、長崎空港は市街地から遠いから所要時間の優位性もない。

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