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2022年、鉄道はどうなる? 5年半ぶりの「新幹線開業イヤー」杉山淳一の「週刊鉄道経済」(8/9 ページ)

鉄道需要は回復傾向にある。緊急事態宣言終了後の鉄道の混雑は、筆者も体感しているが、変異型オミクロン株は予断を許さない状況だ。それでも鉄道業界の決定事項として、「西九州新幹線開業」「JR只見線全線再開」「新型車両導入」「減便ダイヤ改正」がある。これらの行方と、鉄道の国内需要について考えてみたい。

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国内旅行需要回復へ

 国が「テレワーク推進」といいつつ通勤需要は回復してきた。テレワークのかけ声だけで、国も自治体も具体的なテレワーク推進施策をしていないから当然だ。

 例えば「固定回線の通信費を下げる」「PCの買い換えに補助金を出す」「書斎を増やす目的の住宅に減税や低金利ローンを提供する」「戸建て住宅の建ぺい率や容積率を緩和して増築や増床を促す」「在宅家庭にも保育所を提供する」「企業のサテライトオフィス設置を支援する」くらいのことをやらないとテレワークは進まない。やっぱり会社に集まった方が仕事をしやすい。

 旅行需要に関しては回復が難しい。訪日外国人数が回復しないからだ。日本国内では奇跡的に新規感染者数が激減したが、海外は相変わらず危険な状態で推移している。

 先日、小田急電鉄は「白いロマンスカーVSEの定期運行を終了する」と発表した。経年劣化が理由というけれども、代替の新造ロマンスカーの導入予定はないという。つまり箱根行きロマンスカーの減便である。箱根観光のインバウンド需要の回復は遅いという判断があったように思う。経年による新型車導入の検討は継続しているはずだけど、導入は数年先になるだろう。

 日本の旅行需要は、国内でコントロールできる範囲で回復しなくてはいけない。前述のように、設備が余っているウチに回復させないと、縮小のスパイラルになる。鉄道車両だけではなく、ホテルなども経年で建て替えるたびに客室が減っていくかもしれない。いまからきちんと国内需要シフトで立て直したい。

 インバウンド需要の見通しは立たないけれども、見方を変えれば、日本国内からの海外旅行の見通しも立たない。筆者は日本の鉄道の全線に乗り追えて、いよいよ海外の鉄道に乗ろうと思ったところで足止めを食らった。でも鉄道に乗りたいから国内の旅を続けようと思っている。


東武鉄道の新型特急車両「N100系」は23年に投入予定。22年は「仕込みの年」

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