「週休3日制」は定着するのか? 塩野義・佐川・ユニクロの狙い:どうなる? 「週休3日制」(1)(1/3 ページ)
コロナ禍で働き方の自由度が増す中、選択的週休3日制の導入を検討する企業が増えている。選択的週休3日制は定着するのだろうか? 導入各社の狙いはどこにあるのか? 人事ジャーナリストの溝上憲文が解説する。
コロナ禍でリモートワークやフレックスタイムの導入が進み、働く場所や時間など働き方の自由度が高まる中、「週休3日制」の導入が視野に入ってきた。
塩野義製薬は、2022年4月から選択的週休3日制を導入する。研究部門や工場勤務を含めた国内従業員の7割にあたる約4000人の従業員が対象だ。
同時に副業も解禁。その目的は、リスキリング(学び直し)や社外で働くことを通じた知見の吸収・人脈づくりなどだ。それらによって、組織全体のイノベーション力を高めることや、介護や育児と仕事の両立などワークライフバランスの実現を目指す。
パナソニックも1月6日に、選択的週休3日制の導入を検討していることを明らかにした。
“選択的週休3日制”とは、希望する社員が週休3日を選べるもので、土日以外に特定の曜日の休みを申請する。申請は1年ごとに見直すことができる。ただし、給与は週休2日の場合の8割となり20%減額される。また入社3年未満の社員と管理職は対象外となる。
社員にとっては働く場所と時間の選択に加え、休日も選択できるようになり、働き方の自由度がより高まる。
政府が後押しする週休3日制
こうした動きの背景には、政府の後押しもある。
21年6月18日に閣議決定した政府の“骨太の方針”(経済財政運営と改革の基本方針2021)には、「選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供などにより企業における導入を促し、普及を図る」と明記された。
選択的週休3日制を最初に提案したのは、自民党の一億総活躍推進本部だ。
21年4月20日に発表した提言(「選択的週休3日制」による社会発展の促進)では「希望する就労者に、企業が1週間に3日の休日を付与する制度」と説明。その目的として、(1)子育て、介護や治療と仕事の両立、(2)大学院進学やリカレント教育によるキャリア形成または副業・兼業やNPO・ボランティア活動による自己実現の時間確保を挙げている。
週休2日制は、どのように定着したのか
週休3日といっても法制化をもくろんでいるわけではなく、あくまで多様な働き方の一つとして民間企業への導入を働きかけるのが主眼だ。
労働基準法上の休日は、現在でも週1日(または4週に4日)以上であり、週休2日が義務付けられているわけではない(35条)。
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