コラム
鉄道業界に必要なのは「ラガード戦略」 JR東海の「きっぷうりば」が優れているワケ:万人に開かれた公共交通のために(3/5 ページ)
日本の鉄道事業者はイノベーションを起こそうと、常に新しいことに挑戦している。一方で万人受けかというと、疑問に思うサービスも多い。「イノベーター理論」で考えると、「ラガード」「レイトマジョリティ」層は戸惑ってしまうのではないだろうか。
「アーリーマジョリティ」までをターゲットにしたJR東日本
近年、JR東日本はオンラインを中心とした新サービスを展開するようになり、一方でリアルのサービスを減少している。特急の回数券を次々と廃止し、代わりにチケットレスでの予約やネット予約での早期割引を行うようになっている。「みどりの窓口」も減り、多くは「指定席券売機」に置き換えられた。
筆者のふるさと山梨県では、2019年3月に「あずさ回数券」が廃止になった際、大きな騒ぎとなった。あずさ回数券は、新宿〜甲府・竜王間が1枚当たり2880円、6枚つづりで1万7280円となっており、中央線特急を利用する人の間ではよく使われていた。会社でまとめて購入し出張の際に従業員に2枚だけ手渡したり、金券ショップでのばら売りを買ったりということもひんぱんに行われていた。
あずさ回数券の廃止後は、「えきねっと」での早期予約や、Suicaと特急券のチケットレスサービスを利用するように促していたが、従来の回数券に慣れた人たちにとっては気軽に利用できないものとなっていった。ちなみに、自由席もなくなった。
スマホやネットが使えて、クレジットカードも持っていて、という人をターゲットにした戦略が見て取れる。そういう人にひんぱんに乗ってもらい、その他の人は指定席券売機でふつうの運賃と料金を支払ってもらいたいと考えている。もちろん、その場合は「あずさ回数券」をバラで買うより高い。
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