「お金の使い方」を知っていますか? 教育事業参入のマネックス松本社長に聞く(1/4 ページ)
マネックスグループは2021年11月26日に、STEAM教育に取り組むスタートアップ「ヴィリング」を買収した。これは、マネックスが教育事業に新規参入するということを意味する。その背景には何があるのか。松本大社長に聞いた。
マネックスグループは2021年11月26日に、STEAM教育に取り組むスタートアップ「ヴィリング」を買収した。これは、証券に始まり仮想通貨など各種金融業に取り組んできたマネックスが、教育事業に新規参入するということを意味する。
その背景には何があるのか。松本大社長に聞いた。
——21年4月に新たな企業理念として「個人の自己実現を可能にし、その生涯バランスシートを最良化する」を掲げています。「生涯バランスシート」とは何でしょうか。このビジョンに至った背景を教えてください。
松本氏 3年ほど前、コロナ禍直前のころ、最後のお客さま感謝デーを行いました。それが終わって、顧客がみんな帰った後、長いらせん階段を上って帰ったんです。すると、途中で小柄なおばあちゃんが私を待っていました。
そのおばあちゃんが、小さな本をくれたんです。生きてきた証拠を残したかったと自費出版した本だそうです。マネックス証券で運用してきた株を売って、そのお金で自費出版したといいます。
その本の冒頭に私の名前も出てきたんですね。この仕事をやってきて良かったと思いました。
マネックス証券の仕事は、単なる資産の運用ではありません。その先に自分の一生を記した本を出版するとか、やりたいことがあって、それをサポートする事業をやっているんだと実感しました。100を300に増やすのが仕事じゃなくて、300を使って何かをする手助けをするのが我々の存在理由だと思ったのです。それがきっかけで、改めて企業理念について考え始めました。
僕らの仕事は、お客さまがしたいことをできるようにするのが最終的な目標なのではないか。これが、人生の生涯バランスシートという考え方です。無駄な時間は負債の一つだし、健康を害すると自分のやりたいことができなくなる。これも自己実現という軸で考えた生涯バランスシートの要素です。
若いうちに、科学的な考え方を身につける教育を受けることも、生涯バランスシートを良くするために重要です。収入が増えるような基礎的な知性をつける、間違ったお金の使い方をしないとか、人が正しい数字や科学的な考え方を持つことがすごく大切です。
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