「お金の使い方」を知っていますか? 教育事業参入のマネックス松本社長に聞く(2/4 ページ)
マネックスグループは2021年11月26日に、STEAM教育に取り組むスタートアップ「ヴィリング」を買収した。これは、マネックスが教育事業に新規参入するということを意味する。その背景には何があるのか。松本大社長に聞いた。
——STEAM教育に取り組むヴィリングを買収しました。
STEM教育、そしてSTEMにリベラルアーツを加えたのがSTEAM教育です。サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アーツ、マセマティクス——それを子どもたちに教えることをヴィリングはやっています。そのような事業をマネックスグループの本業としてしっかりやっていきたい。
教育産業はいま、2つの極に分かれていて、1つは大学受験に特化した、ある意味コマーシャル(商業的)な方向に行くものです。もう1つは引退した人が地域の人たちにボランティア的に教えるといった、社会へのペイバック的なスケールとか永続性のない善行として行うものです。このように、超コマーシャルな受験産業か単発的なものに分かれてしまって、スケールを持って、科学的な考え方を身に付けさせようというものがない。間がぽっかり空いてしまっています。
STEM教育をしっかりやっているヴィリングがマネックスのグループに入ることで、資本を提供したり、大企業に話を持って行ったりもできる。だから子ども向けのSTEAM教育を、マネックスグループの中で本業として立ち上げていくことにしました。
——STEAM教育についてもう少し教えてください。
STEMやSTEAMは米国では非常に重要だと考えられていて、日本でも政府の骨太方針にもSTEM推進が入っています。だんだん認識はされていますが、いかんせん、実際のサービスがないんです。
STEMというと、プログラミングだと勘違いして、プログラミングを子どもに教えるといった、狭い所に入ってしまうものも多くあります。そうではない、本来のSTEMをやろうというところは少ないんです。
STEMにはちゃんとした教育理論がベースにあります。適度なプレッシャーが必要で、子どもにとってつまらなすぎると伸びない、難しすぎるとやる気がなくなってしまう、適度な難易度でやるのが良いというのがフロー理論。コンストラクショニズムは、MITの人工知能研究者シーモア・パパート教授が唱えたもので、実際に触って作りながら理解していくというものです。理論や原理を学び、それをベースにものづくりに取り組みます。つくるから分かるんですね。
こうした世界的な教育理論があって、それに根ざした形でヴィリングは緻密なカリキュラムを作ってやってきている。ただしスケールがなかった。そこで我々が関わってスケールさせていきます。
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