日大は変われるのか いまだ続く「縁故採用」の功罪:リファラルとコネでも大違い(2/4 ページ)
さまざまな不祥事で注目を浴びた日本大学。その背景には閉鎖的な組織風土があったと考えられるが、新たな職員採用でも「縁故採用」が続いているようだ。人事や人材に詳しい筆者の視点から、縁故採用の功罪や、昨今注目の手法などを解説する。
会社が社内外の関係者から紹介を受けて採用する縁故採用は、決して違法ではありません。また、以前「活況の“転職市場”を支える『人材サービス』 企業が知るべきことと事業者が心掛けるべきこと」という記事の中でもご紹介した通り、厚生労働省の雇用動向調査によれば、18年に転職した人の入職経路で「縁故」は2位となっています。縁故採用は、それだけ多くの会社で用いられている手法なのです。
実際、縁故採用は会社にとってさまざまなメリットがあります。大きく3点挙げてみます。
縁故採用のメリット(1)効率的な採用
縁故採用がもたらすメリットの一つは、効率的な採用が可能になることです。社内の事情に詳しい関係者からの紹介であれば、その時点で一定の信用性が担保されます。会社が求人応募者を選考する際、一緒に働きたいと思う人材かどうかや会社との相性は重要な判断基準の一つです。社員など会社の関係者が紹介したいと思った人材は、その時点で既に基準をある程度クリアしている可能性が高いといえます。
また、求人広告費用の節約も期待できます。求人広告に出稿したり人材紹介サービスを利用したりすれば、それなりの金額がかかります。しかし、関係者からの紹介であればそれらの費用は不要です。縁故採用は、選考基準をクリアする確率の高さと費用の両面において効率的なのです。
縁故採用のメリット(2)高い定着率
2つ目のメリットは、高い定着率が期待できることです。紹介してくれた関係者の手前、縁故採用で入社した社員には、安易に退職してしまうような心理が生じにくくなります。そのため、採用する会社としては自社の戦力として長く働いてくれることを期待できます。
縁故採用のメリット(3)関係性の強化
メリットの3つ目は、関係性の強化が期待できることです。縁故採用で入社した社員を紹介したのが自社の社員であれば、入社した社員も紹介した社員も、互いの関係性を大切にする気持ちがある分、会社への帰属意識もより強く感じられるようになることが期待されます。また、取引先など外部の関係者からの紹介で入社したのであれば、これまでの関係性をさらに親密なものへと高められることが期待できます。
こうした採用する会社側のメリットに対し、縁故採用された社員の側は、個人的なつながり(コネ)を利用して入社したと見なされ、ともすると社内関係者から良い印象を受けない可能性があります。厳しい選考を勝ち抜いて入社を勝ち取った同僚たちは、“裏口”からズルをして入社したと受けとりかねません。かつては、縁故採用といえばそんなコネ採用のことだと認識されました。
ところが、近頃は社員が友人や知人に声をかけるリファラル(referral:紹介・推薦)と呼ばれる採用手法が広がってきています。
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