2015年7月27日以前の記事
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日大は変われるのか いまだ続く「縁故採用」の功罪リファラルとコネでも大違い(3/4 ページ)

さまざまな不祥事で注目を浴びた日本大学。その背景には閉鎖的な組織風土があったと考えられるが、新たな職員採用でも「縁故採用」が続いているようだ。人事や人材に詳しい筆者の視点から、縁故採用の功罪や、昨今注目の手法などを解説する。

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 リファラルも、広義では縁故採用の一種といえます。リファラルを導入する企業が増えてきたことにより、今では「縁故採用」という言葉が使われる際、コネ採用だけを意味しているのか、リファラルなどを含む広義の意味なのかが分かりづらくなってきています。

 縁故採用という言葉が広義で使われる場合、誰の紹介なのかや、採用フローのどこまでが免除になるかなどに応じてかなり印象が変わってきます。その違いを採用フロー図を見ながら、確認してみたいと思います。


一般的な採用フローのイメージ(図は筆者が作成)

 採用フローは応募から始まり、書類選考や面接を経て採用へと至ります。リファラル採用の場合、紹介する人は基本的に自社の社員です。社員が友人や知人に応募を勧めて本人が同意した後は、他の一般応募者たちと同様に採用フローに乗ることになります。

 ただし、社員が勧誘した時点で一定の基準を満たしていると見なし、書類選考や一次面接などを免除して、いきなり人事や役員と面接するところからスタートするケースもあります。スタート地点がどこになるかは、その人材の応募職種やポジション、会社方針などによって変わるため明確に定まっておらず、グラデーションしているイメージです。


リファラル採用のフローイメージ(同前)

 一方、コネ採用の場合は基本的に採用前提です。紹介する人は自社内の重役であったり得意先であったりと、採用する会社より立場的に高い存在です。形式的に面接をすることもありますが、よほどのことがない限り不合格になることはありません。つまり、コネ採用の場合は実質的に選考は行われないということです。


コネ採用のフローイメージ(同前)

 このように、縁故採用でもリファラルとコネではかなり実態が異なります。求職者からすると、コネならほぼ採用確定なので大変な思いをして就職活動する必要がありません。一方、リファラルの場合は面接などの選考を経るため不合格になることもあり得ます。

リファラルとコネ、会社側のメリット/デメリット

 なお、会社側はリファラルでもコネでも、先に挙げた3つのメリット「効率的な採用」「高い定着率」「関係性の強化」はいずれも当てはまります。

 ただし、コネ採用の場合、時に実力が伴わない人材も採用しなければならないことがあります。求人広告費などの金銭面でコストがかからない分「効率的な採用」ではあるものの、実力不足の社員を押しつけられるという人的資本面でのコストがかかる可能性があります。また、コネという特別待遇で採用された社員へのやっかみや周囲の視線など、入社後も何かと気を遣わなければならない事態も発生するかもしれません。しかしながら、得意先などとの関係性を深める政略的な効果は高い可能性があります。

 一方、リファラルはコネに比べ、縁故採用が有する3つのメリットをバランスよく享受できる手法だといえます。昨今リファラル採用が広がりつつある理由の一つです。

 さて、ここまでを踏まえた上で、あらためて日本大学の縁故採用について考察してみたいと思います。「令和4年度大学卒職員(一般職)採用選考試験実施要項」が公開されている日本大学のWebサイトには、時事通信が報じた応募資格の他に選考方法が記されています。

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