5万台突破! 耳が遠くてもテレビが聞こえやすい「ミライスピーカー」の実力:テレビと接続(2/5 ページ)
テレビと接続することで音を聞こえやすくする「ミライスピーカー」が、発売から1年8カ月で累計販売台数5万台を突破、順調な売れ行きを見せている。ミライスピーカーを開発・販売するサウンドファンの山地浩社長と取締役の金子一貴氏に、曲面サウンドの革新性とビジネスモデルを聞いた。
テレビと接続すると、音声が聞きやすくなる
ミライスピーカーは、電源とテレビに接続することで、テレビの音を聞きやすい音に変換するのが特徴だ。特に、難聴者が聞きづらいとされる「人の声」がクリアーな音に変わるという。
音を大きくするのではなく、音を明瞭にして聞きやすくしているため、一般的な聴力を持つ人が使っても、不快には感じないとか。そのため、難聴の人とそうでない人が、どちらも快適な音量でテレビを見ることができるそうだ。
聞こえやすさを実現するのは、サウンドファンが日本、米国、カナダなど8カ国で特許を取得している「曲面サウンド」と呼ばれる技術。一般的なスピーカーは、振動板が円すい形であるのに対して、ミライスピーカーで使われている振動板は、平板を湾曲させた形状になっている。
開発のきっかけは、蓄音機だった。サウンドファンの創業者である佐藤和則氏が「聴力が衰えた高齢者でも蓄音機の音は聞きやすい」という事実を発見。蓄音機のラッパ部分が曲面になっている点に着目し、曲面サウンドを開発して、製品に落とし込んだのだ。
取材中、金子氏がオルゴールと下敷きを使って曲面サウンドの仕組みを説明してくれたのだが、いとも簡単に音が大きく聞こえたことに驚かされた。オルゴールを下敷きに当て、その下敷きを湾曲させるだけで、明らかに音量が大きく聞こえた。これは、補聴器や集音器とは構造が全く異なる。
「補聴器や集音器は一般的なコーン型スピーカーを採用しており、小さな音や難聴者が聞こえづらい周波数を拾って音量を上げて音を届ける仕組みです。ミライスピーカーとは、技術的なアプローチが全く違います」(金子氏)
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