今こそ休む! 日本に“長期間休める企業”が必要なワケ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)
「働かせ方」の二極化が拡大している。ブラック企業の話も後を絶たないが、経営改革が進む企業では、休暇制度の充実に着手することが多い。例えばJR東日本は「全社員を対象にした最長2年間の新休職制度」を4月に設ける方針だ。日本の生産性を上げるため、筆者はこのような長期休暇が取れる企業が増えるべきだと考えている。その理由は──。
「働かせ方」の二極化が拡大しています。
「給料上げなくても大丈夫。だって今、辞める人なんていないでしょ」と、コロナ禍の厳しい状況を逆手に低賃金で雇い続ける、いわゆる“ブラック企業”と、「会社を支え、発展させるのは社員だ!」と、賃金を上げ、リモート勤務を利用することで地方移住を後押し、休暇制度も充実させる“ホワイト企業”です。
先行きが不透明なコロナ禍だからこそ、トップの経営手腕が問われているのに、前者のトップは怠慢な経営を続けている残念な経営者です。一方、後者のトップは自らも学び、確固たる経営哲学のもと経営改革を進めています。
かたや、働く人たちも「他に行くよりマシだと思う。我慢するしかない」と心の蓋を閉める人と、「自己を犠牲にしてまで、会社に尽くしても無駄」と、働き方を変える人に分かれています。
むろん、我慢してる人たちだって「余裕があれば、私だって……」と思っているのかもしれません。しかし、どうにかしたくても心が動かない。心が疲れすぎていて、前に進もうという感情が一向に湧き立たないのです。
そんな時は時間に追われる生活に距離を置き、新たな“人生のシナリオ”作りをする必要があるのですが、なかなかそういった機会を持つのも難しい──。
そんな中なんと、その「人生のシナリオを作る時間」を会社側が準備してくれる、という夢のような制度が報じられました。
1月20日、JR東日本が、「全社員を対象にした最長2年間の新休職制度」を4月に設ける方針であると分かりました。休暇中は無給になりますが、留学も、資格取得も、不妊治療や介護などに使ってもOKです。
また、全日空では「キャリアデザイン休職」という長期休暇制度を、労働組合に提示したとされています。1年以上休職する場合、補助金を20万円程度支給することも検討しているそうです。
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