無人なのに高級コーヒーが飲める AIカフェロボット「root C」の革新性:1杯450円(2/5 ページ)
近年、人気を集める「非接触」のサービス。JR新橋駅前や東京ソラマチなどに設置されているAIカフェロボット「root C」も、そのひとつ。同サービスを運営するNew Innovationsの中尾渓人CEOに、ビジネスモデルと反響を聞いた。
完全無人でスペシャルティコーヒーを提供
AIカフェロボット「root C」は、2020年3月に東京・丸の内の新東京ビルで実証実験として設置されたのち、2年弱で9カ所まで設置台数を広げている。駅やオフィスビルのほか、NEWoMan新宿や東京ソラマチといった商業施設にも設置されている。
一見、大型の自動販売機のようだが、そうではなく、小規模カフェの無人店舗だという。扱っているのは、自社調達の豆を使った数種類のスペシャルティコーヒーで、マーチエキュート神田万世橋のステーション(店舗)のみ、カフェラテを提供している。
購入は専用のアプリから行う。アプリ上でメニューと受け取り時間を選び、支払いを済ませ、指定した時間に受け取る流れだ。時間は10分単位で指定でき、指定時間から10分以内に受け取る必要がある。例えば、13時を選ぶと13時9分までとなる。
1杯の提供価格は一律450円。リピーター向けのサブスクもあり、月8杯までの「Limited Plan(リミテッドプラン)」は1980円、杯数無制限の「Unlimited Plan(アンリミテッドプラン)」は7980円。基本的にリピート利用を想定したサービス設計で、1杯のみの購入でも、常に購入金額の10%がキャッシュバックされたり、ログインボーナスやクーポンが付与されたりするそうだ。
「メニューごとに価格を変えることもできますが、あえて一律料金としています。メニューを選ぶ際の心理的負荷を減らしたいことに加えて、現状は『お得だから使う』というより、『しなやかなコーヒー体験をしたい』と思う方に使ってほしいと考えているためです」(中尾氏)
導入当初は、20〜30代のサブスクユーザーが圧倒的に多かったが、商業施設への導入が相次ぐなかで、利用者の年齢層や利用目的が広がり、単品購入者も増えているという。ユーザーからは「期待以上においしい」と味を評価する声が多く、これは「原価の高い豆を使っているからだろう」とのこと。
「スターバックスやタリーズなど、セカンドウェーブといわれるカフェチェーンで提供されている豆と比較して、原価が4〜6倍の豆を仕入れています。社内のバリスタが味の責任を持って商品企画をしており、ロースト加減も当社専用。人件費を削減したぶん、価格を落とすのではなく、すべて豆の原価に当てました」(中尾氏)
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