コラム
不祥事を防ぐ「企業風土」作り 見せかけだけの“崇高な経営理念”を、本当に根付かせるには:「企業文化調査」の方法(1/3 ページ)
「経営理念は立派だが組織に根付かず、形式だけ」「理念とかけ離れた行動が現場で横行」──不祥事を起こした企業でよく見られるこうした乖離状態を防ぐには。
本記事は、BUSINESS LAWYERS「企業文化は戦略に勝る - 変革の時代における「企業文化調査」のすすめ」(渡辺樹一/2021年12月6日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
マネジメントの父、ピーター・ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る(Culture eats strategy for breakfast)」という有名な言葉を残しています。また、経営学者のマイケル・ポーターは著書「競争の戦略」において、戦略の定義を次のように述べています。
- 戦略とは、独自の地位を築くためのフレームである。
- 戦略とは、競合よりも優位なポジションを築くためのフレームである。
- 戦略とは、持続的な発展、持続的な競争優位を構築するためのフレームである。
「戦略」が企業の持続的な成長に向かって発射されるロケットであるとするならば、「企業文化」は「戦略」の実現を図るための発射台、つまりこれら3要素を構築、実現するための土台であるといえるでしょう。企業文化の醸成や変革にいかに取り組んでいくかは、企業の未来を左右します。
本稿では、従来、企業経営では焦点が当てられてこなかった「企業文化」に光を当て、「企業文化調査」を行う意義と目的、具体的手法をテーマにお話しします。なお、本稿は、【連載】「企業不祥事から学ぶ企業変革・組織開発への施策」の第9回を補完するものです。本稿と合わせて第9回をお読みいただければ幸いです。
1.今、企業が「企業文化調査」に取り組むべき理由
関連記事
- 「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。 - 「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。 - 「守りのCFO」から「攻めのCFO」へ スタートアップに優秀なCFOが必要な理由
非連続成長を実現するスタートアップには、優れたCFO(最高財務責任者)の存在が不可欠だ。“金庫番”としての「守り」にとどまらず、「攻め」に入るCFOは、どのように自社の成長をドライブしていくのか。 - CFOを目指したい人の登竜門? 「FP&A」とは、どんな仕事なのか
ファイナンス部門というと経理や財務の印象を強く持つかもしれないが、実はもう一つの大きな柱が「FP&A」。海外では「CFOへの登竜門」になっている企業も多いというが、どのような職なのか。 - 経営も分かる「CFO候補」が理解しておくべき、経営の“本質”とは?
財務・経理と並ぶファイナンス人材のキャリア「FP&A」。経営者のビジネスパートナーとして、経営判断に影響を与える良質な判断材料を提供します。この役割を果たすためには、しっかりとした判断軸が必要です。「FP&Aの判断軸」とは一体どのようなものなのでしょうか。
© BUSINESS LAWYERS