「くるみん認定」とは? メリットや認定基準は? 22年4月の改正ポイントを解説:子育てサポート企業(3/5 ページ)
「くるみん認定」は、次世代法に基づき、一定の要件を満たした企業を「子育てサポート企業」として認定する制度です。認定基準が改正されるのを機に、あらためて制度の内容と目的を確認しましょう。
【1】育児・介護休業法の改正
2020年の雇用均等基本調査によると、女性の育児休業取得率は81.6%で8割を超えているのに対し、男性の育児休業取得率は12.65%でした。初回調査以来過去最高であるものの、男女の取得率には大きな差があります。
そうしたなか、2022年に施行される改正育児・介護休業法には、男性の育休取得を促すため、子の出生直後に現行よりも柔軟に取得できる休業制度の創設や、職場環境の整備を義務付ける内容が盛り込まれています。
具体的には、社内風土や職場の雰囲気によって取得状況に格差が生じないよう、事業主に対して取得の申し出をしやすい職場環境の整備や、制度の利用対象となり得る従業員への個別周知を義務付けています。
【2】男性の家事・育児参加と女性の就業継続の関係
厚生労働省の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2019」によると、「夫の家事・育児時間が長いほど、妻の就業継続割合が高く、また第2子以降の出産割合も高い」という結果が報告されています。
男性が家事・育児に主体的に関わっていくことで、女性の雇用継続や夫婦が希望する数の子どもをもてるようになることが期待されます。
【3】不妊治療と仕事の両立支援
2021年2月に改正された一般事業主行動計画策定指針では、不妊治療を受ける従業員に配慮した措置の実施が追加されました。
近年の晩婚化などを背景に、不妊治療を受ける夫婦が増加し、働きながら不妊の検査や治療を受ける人は増加傾向にあります。しかし、厚生労働省が行った「平成29年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」によると、16%の人が、仕事と治療の両立ができず離職しています。
仕事と不妊治療の両立を困難にしている要因としては、精神・体力面での負担が大きいことや、通院回数が多いこと等が挙げられています。また、企業側に不妊や不妊治療に対する正しい知識が不足していて、企業内の支援が進まないことも考えられます。
人手不足のなか、企業においても、不妊治療を受けながら働き続けることができる職場環境を整備することは、重要な課題です。
すでに不妊治療と仕事の両立を支援している企業のなかには、不妊治療のための休暇(休職)制度の導入、治療費の補助や融資など、独自の制度を取り入れている例もあります。しかし、治療を行っている人のなかには「治療をしていることを知られたくない」「周囲に気を遣われたくない」という理由で、不妊治療をしていることを職場でオープンにしていないケースがあります。
そこで、個人のプライバシーにも配慮できる支援策として、誰もが柔軟に働くことができる時間単位の年次有給休暇、時差出勤、フレックスタイム制、テレワークなどの制度導入が求められます。
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