コラム
「相鉄・東急直通線」2023年春開業 巨大ネットワークで東京の交通はどう変わるのか?:都心が、ぐっと近づく(1/6 ページ)
相鉄・東急直通線の2023年3月開業が正式発表された。相鉄と東急の直通で誕生する巨大ネットワークは、単に都心にアクセス可能になるだけではない。
都心部の新線の開通や新しい相互乗り入れの開始で、東京の鉄道網はより一層拡大していく。都心から郊外へ向かう私鉄は、都心部でのターミナルの折り返しを減らし、混雑を緩和するために地下鉄やJRへの乗り入れを進めてきた。
そんな中、いかんともしがたい状況だったのが相模鉄道(以下、相鉄)だ。横浜をターミナルとする相鉄は、どうしても都心に乗り入れることができなかった。都心に線路網を延ばせるのかを長年の課題としてきたが、2019年11月30日の相鉄・JR直通線の開業で、都心との直結が可能になり、ひとまずは願いがかなった。
だが平日昼間はおよそ30分に1往復。本数としては少ない。というのも、新宿駅の折返し可能容量や湘南新宿ラインとの線路の共有による路線の混雑など、多く走らせることができないためだ。武蔵小杉駅では横須賀線とも線路やホームを共用しており、ここもいっぱいだ。
相鉄・JR直通線の開業と合わせて、もう1つのプロジェクトが動いていた。23年3月の開業が正式発表された相鉄・東急直通線だ。相鉄は、この直通線にこそ力を入れている。
関連記事
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。 - 新幹線だけじゃない! JR東海の「在来線」はどうなってるのか
JR東海といえば「東海道新幹線を運行する会社」「リニア中央新幹線を建設する会社」というイメージが強い。報道も新幹線絡みが多い。しかしほかのJR旅客会社と同様に在来線も運行している。そして「新幹線ばかり優遇して、在来線の取り組みは弱い」という声もある。本当だろうか。 - 函館本線「山線」並行在来線として2例目の廃止、鉄道を残す方法は?
1月31日に西九州新幹線の並行在来線、2月3日に北海道新幹線の並行在来線と、並行在来線の処遇に関する報道が相次いだ。並行在来線とは整備新幹線に平行する在来線のうち、JRが不要と切り捨てた区間だ。切り捨てられるほどなので、地元の人々の利用が少なく生活路線としての存続は難しい。それでも鉄道を残す方法はあるのだろうか。 - 東京に2つの地下鉄「東京メトロ」と「都営」が存在する理由
東京の2大地下鉄「東京メトロ」「都営地下鉄」はどのようにして誕生したのか。現在のビジネス状況とともに誕生の経緯を探ってみる。 - 鉄道業界に必要なのは「ラガード戦略」 JR東海の「きっぷうりば」が優れているワケ
日本の鉄道事業者はイノベーションを起こそうと、常に新しいことに挑戦している。一方で万人受けかというと、疑問に思うサービスも多い。「イノベーター理論」で考えると、「ラガード」「レイトマジョリティ」層は戸惑ってしまうのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.