「お金を稼ぐために健康を犠牲にする」愚かさ 毎日イキイキと働くためにしたい“たった一つのこと”:大愚和尚のビジネス説法(2/4 ページ)
誰もがみな、豊かに暮らしたいと願っています。だから懸命に働いて、豊かに暮らすためのお金を得ようとします。ところが皮肉なことに、身を粉にして働いて稼ぎ、ようやくゆったりとした暮らしを楽しもうと思った矢先に大病を患います――健康に、そして幸せに働き、生きるために必要なこととは?
禅寺に育った私は、3歳で経本を持たされ、5歳になると、お檀家さんの法事に同行させられていました。幼少期はまだよかったのですが、思春期に差しかかると、そんな環境に反発を覚えます。厳しい師匠、堅苦しいしきたり、何かにつけて「お寺の子」と呼ばれる重圧が嫌で、将来の進路を考えるたびに「坊さんにだけはなるものか」と心に誓ったものでした。
とはいえ、他に何かやりたいことがあったわけでもなく、「それならばとりあえず」と、周囲の勧めに従い宗門の大学を出て、本山で行を修めます。しかしやはり、寺に戻る気持ちになれなかった私は、生きていくために起業し、まさに「お金を稼ぐために健康を犠牲にする」を目の当たりにします。
現在は興した全ての会社から完全に退き、寺の住職となりましたが、最初の事業を起こしてから、全ての事業を継承するまでの間に、3回救急車で運ばれたのです。
売り上げが立たなければ、立たないときの苦しみがあり、売り上げが立てば、立ったときの苦しみがある。借金、税金、従業員……お金と人の悩みが尽きないのは、経営者の宿命なのでしょう。もちろん、悩み苦しみ以上に、楽しいこと、かけがえのない経験がたくさんあります。それが会社経営の醍醐味であり、だから私も複数の事業にチャレンジしたわけですが――。
1945年以降は、労働基準法によって、ある程度労働者の働き方にも配慮がなされるようになりました。しかし、「社長」や「個人事業主」といった経営者の立場になると、労働基準法で定める「労働者」には当てはまりません。
自分で自分の働き方を管理し、健康管理をしていかなければ、誰も守ってくれないのです。若いときのように、いつまでも働き続けられるわけではない。気合や根性だけで、何もかもが乗り切れるわけではない。そもそもお金を稼ぐことに夢中になって、健康を失ったら、全てを失ってしまう。
そんな当たり前のことを病に倒れて初めて実感し、出会った言葉が、先のダライラマの教えでした。
カラダは機械と同じ?
考えてみれば、人間の体は機械のようなものです。使わなくても調子が悪くなる。使いすぎても調子が悪くなる。無理をすれば無理をしただけ、早く傷みますし、適切に使えば、耐用年数は80年以上にもなります。けれども、機械とは決定的に違うことがあります。
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