AIオンデマンド乗合タクシーの成功の秘訣 全国30地域に展開する「チョイソコ」の事例から:前編(1/6 ページ)
全国30地域で運行しているAIオンデマンド乗合タクシー「チョイソコ」。スポンサーとなった地域の医療機関や薬局、スーパーなどが停留所を設ける仕組みで、収益率を向上させている。このほかに、大きな特徴が2つあるという。
本記事は、ニッセイ基礎研究所「AIオンデマンド乗合タクシーの成功の秘訣(上)〜全国30地域に展開するアイシン『チョイソコ』の事例から」(2022年2月1日掲載、著者:生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
要旨
全国の地方部を中心に、公共交通が衰退し、路線バスやコミュニティーバスが撤退した地区に、予約に合わせて運行する「オンデマンド乗合タクシー」を導入するケースが2000年代半ばから増えている。最近では、AIを使用したものも次々開発されている。しかし、導入しても利用が伸び悩み、自治体の補助金だけがかさむケースもある。
自動車部品メーカーの株式会社アイシンが、愛知県豊明市で開始し、全国約30地域に展開しているAIオンデマンド乗合タクシー「チョイソコ」は、スポンサーとなった地域の医療機関や薬局、スーパーなどが停留所を設ける仕組みで、収益率を向上させるスキームが注目されている。地域の高齢者が、より安価で気軽に、これらの場所に外出できるようになることを目指している。
この移動サービスが始まった背景には、アイシン側にはCASEに対応する必要性があったこと、豊明市側には、民間の力を活用して、高齢者の介護予防を進める必要性があったことがある。
チョイソコの大きな特徴の1つ目は、走行速度の計算にAIを用いて、地域ごとにパラメーターを変更し、適切な所要時間を割り出すシステムにあった。また2つ目は、人件費がかかるコールセンターのオペレーターをフル活用し、営業に生かしている点にあった。
<対談参加者>
◇加藤博巳氏 株式会社アイシンビジネスプロモーション部長。1992年旧アイシン精機入社、Aisin Europe S.A.副社長などを歴任。イノベーションセンター部長を経て現職。2018年から「チョイソコ」事業を統括している。
◇川島康孝氏 豊明市経済建設部市街地整備課長。2001年採用。前職の行政経営部とよあけ創生推進室長の時に地域公共交通網形成計画を策定し、コミュニティーバスの再編と合わせてチョイソコを導入。具体的な運営方法の提案や他の交通事業者との調整等を行った。
◇早川佳介氏 豊明市行政経営部企画政策課施設・交通マネジメント係主事。2014年採用。総務課での選挙担当を経て、公共交通を担当。現在、地域公共交通計画を策定中。
◇坊美生子(モデレーター) ニッセイ基礎研究所生活研究部准主任研究員。ジェロントロジー推進室兼任。高齢者の視点で移動支援、交通政策を研究。
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