北京五輪選手村で実証実験中の「デジタル人民元」 中国の狙いとは?:元日銀局長が解説(2/4 ページ)
中国政府が国内で実証実験を進めている「デジタル人民元」。中央銀行が発行するデジタル通貨で、北京五輪の選手村でも実験中だ。デジタル人民元を推進する中国の3つの狙いとは?元日銀局長に聞いた。
デジタル通貨=ステーブルコインではない その理由は?
コロナ禍などを経て、現金以外の決済手段としてデジタル決済に世界的な注目が集まっている。ビットコインやイーサリアムなど仮想通貨への投資も加熱している。取引の需給バランスによって価値が日々変動する仮想通貨に対して、価値の安定化を図る「ステーブルコイン」というものも登場。テザー(USDT)やUSDC、米メタ(旧フェイスブック)が撤退を表明した「リブラ」といったものが代表的な銘柄といえるだろう。
山岡さんによると「スターブルコインの定義はいろいろあり、定まっていないのが実情」という。その上で「一般的に暗号資産の中で価値を安定化させようとしているのがステーブルコインとされている。どう安定化させているかというと、例えばビットコインのようなものは裏付け資産がなく、出したら出した分だけ。これに対し、ステーブルコインは発行した分だけ、裏付け資産を持っている」と解説する。
こうした違いから、発行目的や単位も異なる。「仮想通貨は投機目的であるのに対し、ステーブルコインは増えることは期待できない。通常マネー同様に使うため、単位がドルだったりもする」と山岡さんは語る。
デジタル通貨とステーブルコインの意味も微妙に異なり「デジタル通貨はステーブルコインよりも広い概念。逆に言えばステーブルコインはデジタル通貨の一部で、ブロックチェーンなどの技術を使って、なおかつ価値を安定する仕組みを組み込んだものが、ステーブルコインだ」という。
デジタル通貨には、民間企業が発行するものと中央銀行が発行するもの(CBDC)があるが、「中央銀行発行のデジタル通貨はステーブルコインとは呼ばない。なぜなら現金同様、中央銀行が発行するため、裏付け資産が不要だからだ。同じように民間のデジタル通貨も、銀行などの金融機関が発行するものは、預金と変わらないため、裏付け資産不要で信用力を担保できる。これもステーブルコインとは呼ばない」(山岡さん)とした。
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