僧侶という職業が“長生き”のワケ 働き方が激変しても、心身の健康を保つ「5つの習慣」:大愚和尚のビジネス説法(1/3 ページ)
「健康で長生きしたい」とは、年を重ねるごとに誰もが抱く願望です。けれども残念ながら、誰もが健康で長生きできるわけではありません。仕事が「これから」というときに、大病を患ったり、「まだまだ」長く働けると思われていた人が突然亡くなったり……。かと思えば、100歳を超えてなお矍鑠(かくしゃく)としておられる方もある。なぜ、人は“順番に逝く”わけではないのでしょうか。
大愚和尚(たいぐおしょう)のビジネス説法
「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶、大愚和尚(たいぐおしょう)が、ビジネスにまつわる疑問、悩みを“仏教の視点を持って”解決。今回のテーマは「健康長寿の秘訣(ひけつ)」。ただ長く生きるためだけではなく、幸福・健康に働き続けるためのセルフマネジメントを、僧侶の生活に学ぶ。
長生きな職業が調査で判明している
厚生労働省による令和2年の簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳。その数字は年々延びているといわれています。
「健康で長生きしたい」とは、年を重ねるごとに誰もが抱く願望です。けれども残念ながら、誰もが健康で長生きできるわけではありません。仕事が「これから」というときに、大病を患ったり、「まだまだ」長く働けると思われていた人が突然亡くなったり……。かと思えば、100歳を超えてなお矍鑠(かくしゃく)としておられる方もある。
「人間は必ずしも年をとった順番に逝くわけではない」
「なぜこんなに若くして亡くなってしまうのだろう」
幼少期からお寺で育ち、僧侶として人の葬送に関わってきた私は、いつしか人間の寿命や命の不思議に関心を持つようになりました。そして、さまざまな資料や本を調べていくうちに、ある興味深い調査の結果を目にしたのです。
それは、当時行われた国勢調査をもとに、福島県立医科大学の森一教授が報告された「昭和55年〜57年(1980年〜82年)における10種類の職業集団の平均死亡年齢と死因に関する調査」です。この調査によれば、平均寿命が長い職業の第一位が「僧侶」。さらに僧侶は、「奈良時代から長寿の職業だった」というではありませんか。
考えてみれば、法然上人(ほうねんしょうにん)80歳、親鸞聖人(しんらんしょうにん)89歳、栄西禅師(えいさいぜんじ)74歳、一休禅師(いっきゅうぜんじ)88歳など、40歳で高齢者といわれた時代に、名僧たちははるかに長寿です。ちなみに、お釈迦さまも長寿でした。2600年前のインドにあって、80歳まで生きたといわれています。
なぜ僧侶は長生きしがちなのか
では、なぜ僧侶は長生きしがちなのでしょうか。先の報告書には、僧侶が長生きな理由として次の2つが挙げられています。
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