「バレンタインのチョコ、くれるよね?」 メッセージだけの“触らないセクハラ”、法的には?:法律事務所ZeLoに聞く!ハラスメントQ&A(2/3 ページ)
50代の男性社員が勤務中、他部署の20代女性社員に「バレンタインのチョコレート、くれるよね?」「どんな男性がタイプなの?」などとメッセージしていました。身体的接触がなくても、セクハラとして認められるのでしょうか?
身体的接触の有無
セクハラと思われる行為に関して、加害者への慰謝料請求が可能なのかを考えるにあたり「身体的接触があるか否か(性的発言のみか)」は、実務上、重要な考慮要素のひとつです。また、身体的接触の有無によって慰謝料請求の金額の相場も変わります。
身体的接触があるセクハラの態様としては、手を握る、肩を抱く、抱きつく、胸や尻を触る、キスをする、衣服の中に手を入れる、性行為に及ぶなどです。
身体的接触を伴うセクハラの場合、裁判では100〜300万円程度の慰謝料請求が認められることが多々あります。しかし、身体的接触がないからといって、もちろんセクハラに該当しないとは限りませんし、慰謝料請求が認められないわけではありません。
実際に、国家公務員の人事や処遇を取り扱う人事院が公表している指針では、性的な発言でありセクハラになり得る言動として、以下を挙げています。
- 卑猥な冗談
- スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にする
- 性的なうわさを立てる
- 性的なからかいの対象にする
- 「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」「女性は職場の花でありさえすればいい」などと発言する
性的な発言だけで身体的接触を伴わない場合は、慰謝料請求が認められたとしても、数万円から30万円程度の金額が多い傾向にあります。
しかし、男性上司から女性部下に対する「エイズ検査を受けた方がいい」「処女じゃないでしょう」などの発言が、許容される限度を超える違法なものであるとして、慰謝料50万円が認められた事例(東京高裁平成20年9月10日判決)や、「わし、●●ちゃんがほしいねん」「恥ずかしいんか、ホテルに行っても暗いから分からへん」といった言動が被害者の人格権を侵害するとして慰謝料50万円が認められた事例(大阪地方裁判所平成7年8月29日判決)もあります。
また「けっこう遊んでいる。おさかんらしい」「彼女はボーイフレンドがたくさんいて、もっと夜の仕事が向いている人だから」などといううわさを社内の関係者に流布し、被害者の面前で「どうせ●●が書いた小説だからポルノに決まってますよ。実体験に基づいて書いたんじゃないですか」という旨の発言をしたという裁判例もあります。こちらの例では、「このような発言は、働く女性としての評価を低下させるものであり、被害者の意思に反し、名誉感情その他の人格権を侵害するものである」として慰謝料150万円が認められました(福岡地裁平成4年4月16日判決)。
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