官公庁の「ペーパーレス化・脱ハンコ」、どのくらい進んでいる?:官公庁職員320人に聞く
官公庁の「ペーパーレス化・脱ハンコ」は、どのくらい進んでいるのか? 具体的にはどんな稟議や承認業務を行っているのか? 官公庁でのデジタル化の実態を、職員320人に聞いた。
官公庁職員への調査で、ペーパーレス化・脱ハンコが「進んでいる」と回答した人は半数以下──ワークフローシステムを手掛けるエイトレッド(渋谷区)が行った調査で、このような結果が出た。
ペーパーレス化や脱ハンコが進んでいるかどうかの質問に、「ややそう思う」(38.4%)、「かなりそう思う」(9.7%)と回答した人は合わせて48.1%。「全くそう思わない」(13.4%)、「あまりそう思わない」(33.8%)は合わせて47.2%だった。
具体的な業務方法とその課題は?
具体的な稟議や申請・承認業務の方法については、「ワークフローシステム(電子決裁システム)で申請」が最多の39.9%。次いで、「Word・Excelなどに入力し、印刷して申請」(39.7%)、「紙に手書きして申請」(8.8%)と続いた。
最多の回答はワークフローシステムだったものの、紙による申請は合わせて48.5%にのぼった。「システムで起案したものをプリントアウトして、回覧印や決裁印をとる方法が続いている」という投稿もあった。
稟議や申請・承認業務に関して、課題に感じていることについては、「承認までに時間がかかる」との回答が最多の45.9%。続いて「無駄な工程が多い」(44.7%)、「情報共有が徹底できていない」(25.0%)が2位、3位となった。半数近い職員が、承認までに要する時間や労力に苦慮していることが浮き彫りになった。
一方、ペーパーレス化や脱ハンコが進んでいると回答した48.1%の職員のうち、約6割である57.2%が、ペーパーレス化・脱ハンコのメリットを実感していると回答。「業務の効率化」(64.8%)や「コストの削減」(52.3%)がメリットとして上位に上がった。
DX推進の必要性は?
官公庁においてDXを推進していくことが重要だと思うかどうかを問う設問では、「非常にそう思う」(34.2%)、「ややそう思う」(43.8%)が合わせて78.0%と大半を占めた。一方で、パソコンが使えない高齢の職員への負担や、効果がコストに見合わないこと、電子決裁にすることで参照しづらくなることへの懸念の声もあった。
調査はエイトレッドが、2022年2月3〜5日、官公庁職員320人を対象にインターネットで実施した。
関連記事
- 日本に「雑務ばかりの職場」がはびこる背景にあるもの
なぜ、職場から「雑務」がなくならないのか? 350以上の企業や自治体、官公庁などでの組織や業務の改革支援を行ってきた沢渡あまね氏が、「雑務ばかりの職場」を生む背景を8つに分けて考察し、その解決策を紹介する。 - 「黙認していた自転車通勤」で社員が事故──労災になる?
自転車通勤をしていた社員が、通勤時に事故を起こし軽傷を負ってしまった──公式には自転車通勤を認めていないが、コロナ禍以降、黙認していた企業は、どのように対処すべきなのだろうか? 社労士が解説する。 - 内定辞退が急増──やはり新卒採用は、対面の方がいいのでしょうか?
コロナ禍以降、新卒採用をオンラインで実施している企業。今年度は例年よりも内定辞退が多く、「対面に戻した企業の方が人気で、差が出てしまったのではないか」と悩んでいる。内定辞退を少なくとどめるにはどうするべきか? また、来年度以降の採用は対面式に戻すべきなのか? 人事コンサルタントが回答する。 - 「アニメ好き」がまさかの大活躍 毎年200人超が異動・兼業する、ソニーの公募制度がすごい
ソニーの社内公募制度では、毎年およそ200〜300人が異動や兼業をしている。「自分のキャリアは自分で築く」という意識が根付いているという背景には、どんな制度があるのか。人事担当者に話を聞いた。 - なぜ、トヨタは執行役員を“半分以下”にしたのか 大企業に迫る「2つの波」
リーマンショック後に起こった執行役員の廃止や削減の動きは、2010年代に入ってからは大企業にも広がっていきました。その一例が、日本を代表する企業の一つであるトヨタです。なぜ、トヨタは改革に踏み切ったのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.