食品ロスを減らそうとしたら宿泊客から「料理がないぞ!」 朝食ブッフェの“深刻”なジレンマ:瀧澤信秋「ホテルの深層」(1/3 ページ)
コロナ禍で変化したホテルの朝食ブッフェ。筆者がリピートしているビジネスホテルでもある変化があった。その理由とは……。
コロナ禍は社会のさまざまな局面で、従来の常識では考えられなかった変化をもたらした。それはホテルも同様で、宿泊者が激減する中、少しでも予約の流入を図ろうとする努力を積み重ね続けてきた。
コロナ禍とホテルといえば、身近なところでは供食スタイルの変化も見られる。例えば、朝食ブッフェ。多くの人が料理を自らピックアップする“ブッフェスタイル”はそのイメージからも忌避され、宿泊者も激減したことから「定食スタイル」へ変更するホテルが相次いだ。
だが、好きなメニューを思いのままにピックアップできるブッフェはゲストにとってもホテルにとっても魅力的であり、再開のタイミングが模索されていた。「ホテルにとっても魅力的」、というのは省人化をはじめとしたオペレーションの効率化などが図られる面があるからだ。
2021年に入り、次第にブッフェを再開するホテルが増えたものの、マスクの着用は当然として、ビニール手袋の着用や飛沫などから料理を保護するパネル、スニーズガードの設置はもはやデフォルトになっている。ホテルの努力という点では、料理の提供方法にも変化が見られる。
ブッフェでは、大皿やトレーに料理が盛られている光景が一般的だ。ただ、トングを使い回さなくてもいいようにと料理を小鉢に盛り、ひとつずつラップを掛けてあるのを見かけることも増えた。とあるホテルで朝食ブッフェを担当するスタッフに話を聞いてみると、かなりの手間と労力がかかっているといい、準備に相当の時間を費やしている話す。
ホテルにとって朝食ブッフェの魅力は、省人化や効率的なオペレーションと前述したものの、朝食券などの受付にはじまり、返却台が用意されるケースもあるが、食べ終わった食器を下げたりセッティングしたりする必要がある。
また、ゲストが食器を返却台に戻すスタイルであっても、テーブルの消毒や料理の補充と、常に気配りが必要であることは想像に難くない。
前置きが長くなったが、そんな朝食ブッフェで最近気になったことがあった。
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