クラファンで3億6000万円を集めた製品は、なぜ謝罪に追い込まれたのか:「優良誤認」の声も(3/6 ページ)
クラウドファンディングサイト「マクアケ」に掲載され、3億6000万円近い資金を集め、反響を呼んだ超音波食洗機「ザ・ウォッシャー・プロ」。その一方で、「優良誤認ではないか」と疑問視する声が上がり、その反応もまた大きくなっていった。同プロジェクトは何が問題だったのか。
マクアケの担当者に確認
マクアケの担当者に確認したところ、同製品の製法は「OEM生産」となるそうだ。この場合、ブランド社が委託先企業に対して、自社ブランド製品の製造を委託。委託先企業が自社の技術などを使って製造した製品をブランド社に納品。ブランド社が自社ブランドの製品として販売する流れだ。
上記を踏まえると、プロジェクトページ内の開発背景は誤解を生む可能性が大きく、5代から開発に参入したにもかかわらず、「BDP(ブランド・デザイン・プラス)シリーズ最高峰の機種」と書かれている。これらは、誇大表現や優良誤認にあたるのではないか。それが、複数のサポーターや消費者が指摘したポイントの1つだった。
これらの指摘を受けて、ブランド社は1月14日に以下のように文言を訂正した。
『「The Washer Pro」は超音波技術に特化したテクノロジー会社とデザインに強みを持つ弊社が協力し、試行錯誤を経たBDPシリーズ最高峰の機種です。超音波食洗器の始まりからすると1.6億円の研究費がかけられ、6回のモデルチェンジをした10年間の集大成です』(「ザ・ウォッシャー・プロ」のプロジェクトページから引用)
しかし、ここでも「BDPシリーズ最高峰の機種」という言葉はそのまま残り、5代から開発に本格参入した旨や5代と6代の違いの詳細も書かれていない。もやもやが残るというのが正直なところかもしれない。
案の定、ネット上で疑問や懸念の声は収まることはなく、結果的にブランド社は、2月2日に「本プロジェクトに対する補足とお詫び」と題した活動レポートを掲載。商品のオリジナル性に関する表現が不十分だったと謝罪したうえで、上述した開発経緯などを詳しく説明し、サポーターからの質問についても個別に回答をしている。
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