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なぜ、ソニーとホンダが提携するのか スピード合意の裏に“EVの地殻変動”:本田雅一の時事想々(2/2 ページ)
ソニーグループと本田技研工業が、モビリティ事業の戦略提携に合意した。提携の話が始まったのは、21年12月。スピード合意の裏側には何があったのか。
ホンダの三部氏は「自動車産業は業界が誕生して以来、初めての大きな地殻変動を迎えている。変化はEVだけではない。生活を支えるあらゆるモビリティ(移動手段)が刷新されようとしており、新しいモビリティサービスのアイデアが生まれている。しかしそれら“自動車メーカー以外”が主役になってきた」と話す。
自動車メーカーの立場からのEV開発は、もちろんこれまで通りに進めていく。しかし「この大きな地殻変動の震源地がデジタル技術によるモビリティ産業の拡張ならば、これから先にはもっと大きな変化が(自動車やバイクという製品単体以外のところから)起きる」(三部氏)。そうなれば、そうした変化を傍観するのではなく、自らデジタルの世界に飛び込み、変えていく側になるべきと考えたという。
もっとも、今回の発表は戦略提携に合意したというものにすぎない。戦略提携は行ったものの、現場レベルでのすり合わせや戦略面でのすれ違いなどから、最終的な成果を出すことなく終わった提携は数多くある。
しかし吉田氏は「戦略提携の難しさは承知しているが、それらを乗り越えていく」、三部氏は「ホンダが持つ自動車メーカーとしてのノウハウとソニーのデジタル先進技術を融合することで新しい提案を生み出していく」と意欲を見せた。
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