牛乳瓶のフタが2000個も売れた! 「1960年代のデザイン」に迫ってみた:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
牛乳瓶のフタをカプセルトイで販売したところ、売れに売れていることをご存じだろうか。カプセルの中にはアタリのような形で「1960年代のフタ」が入っているわけだが、そのデザインをよーく見ると、気になることがいくつか出てきた。どういうことかというと……。
フタに「曜日」を表示
さて、カプセルトイの話に戻す。カプセルには、現在発売している瓶のフタが入っているわけだが、アタリのような形で1960年代のモノも用意している。古いフタは自社の倉庫で見つけたそうで、商品化にあたって復刻させたわけではない。ところで、当時のデザインをよーく見ると、気になることがいくつか浮かんできた。
現在のフタには「消費期限」または「賞味期限」が印字されているが、60年代のモノは違う。「曜日」が表示されているのだ。例えば「金曜日」と記載されていても、今週のモノかもしれないし、先週のモノかもしれないし、先々週のモノかもしれない。なぜこのような仕組みだったのかというと、1951年に公布された「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によって、販売曜日のみの表示で問題なかったのである。
当時の人たちは“自分の舌で判断”、または、古いモノを店頭に並べることはないだろうという“性善説”のうえでぐびぐびと飲んでいたようである。ただ、さすがにそれはマズいよということで、68年に乳等省令を一部改正して、販売曜日から製造日の表示に変わった。フタのどこかに製造日を印字しなければいけなくなったので、中央部分を空白にしたモノが増えていったのだ。
これにて一件落着かと思いきや、新たな問題が出てきたのである。製造日を表示させたことで、消費者の間でこのような動きが出たのだ。「この牛乳はちょっと古いなあ。こっちのほうが新しいや」となって、一昨日のモノよりも昨日のモノ、昨日のモノよりも今日のモノを選ぶ人が増えてきたのだ。
中でも、飛行機や船で運ばれてくる輸入品の売れ行きが悪くなった。輸送に時間がかかってしまうので、当然である。海外からは「なんとかしてくれ」「その制度、おかしいだろ」といった声が強まって、消費期限または賞味期限を表示することになったのだ。
このほかにも、成分を表示しなくてはいけなくなったり(いまのフタは文字だらけに)、製品に付けられていた呼称も変更させられたり。現在、「牛乳」という表記は、生乳100%のモノしか使えないので、「コーヒー牛乳」という商品名は存在しない。正確にいうと「コーヒー入り乳飲料」で、商品名としては「カフェオレ」「ミルクコーヒー」などが多い。
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