アマゾンが作る「アパレル店舗」は成功するのか?:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(2/3 ページ)
米アマゾンは今年、新たなアパレルストア「Amazon Style」の出店を計画している。しかし、Amazon 4-StarやAmazon Booksの撤退が決まるなど、アマゾンの実店舗事業は苦戦している。そんな中、このAmazon Styleは成功できるのだろうか? シリコンバレー在住の筆者が考察する。
Amazon Styleはどんな店舗?
Amazon Styleはどんな店舗になるのでしょうか。
Amazon StyleのマネージングディレクターであるSimoina Vasen氏がCNBCの取材に対し「われわれは、10ドル程度のベーシックなアイテムから、デザイナーズジーンズや400ドルする流行に左右されない定番のアイテムまで、あらゆる予算、あらゆる価格帯に対応した商品を取りそろえたい」と話しました。
売り場はおよそ3万平方フィート(約2787平方メートル)で、平均的な百貨店よりも小さいサイズです。
公式サイトでは「Amazon Styleは、Amazonのファッションへの愛と革新的なテクノロジー、そしてワールドクラスのオペレーションを融合させ、お客さまが気に入る商品を見つけられるようサポートします」と謳われています。
試着室の「顧客体験」に期待
Amazon Styleでは、試着室に入るまでのフローもアプリで管理されています。試着室には大きなパネルがついており、アプリを通して「24番にお入りください」と通知が来たら、24番の試着室に自分で入ります。
米国では試着室に入るのに大行列ができることが多いため、アプリで自分の順番が通知されるまで並ばないでよいことは、顧客体験の向上という点で大きな競争優位性をもたらします。また、列に並ぶ必要がなくなることで、結果的に顧客が店内で商品を見て回る時間も長くなるため、客単価が上がることも想定できます。
試着室に入ると、「◯◯さん、ようこそ」と名前が記載されたスクリーンがスタンバイしています。このスクリーンは、パーソナライズしたアイテムをレコメンドしてくれます。また、アマゾンフルフィルメントセンターの技術により、利用客は追加で試着したい商品をタイムリーにリクエストし、自動的に届けてもらうことができます。
通常、米国のアパレルショップでは、追加で試着したい商品がある場合には店員に持ってきてもらうことが一般的です。しかし、コロナ禍でそのようなサービスを中止しているお店が多くなっています。さらに、米国のアパレルショップは一般的に店員の数がとても少ないため、一度試着室に入ると、追加で別のサイズを試着するのは至難の技です。
しかし、Amazon Styleではパネルでオーダーをすれば数分で試着室に届くということですから、この点でも他の小売りとの差別化が図れることでしょう。
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