営業時間を短縮しても、なぜ丸亀製麺のワイキキ店は全店1位なのか:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
丸亀製麺ワイキキ店の売り上げが好調である。2011年にオープンしてから、全店で1位をキープ。コロナ禍にもかかわらず、21年12月には過去最高の売り上げをたたき出した。なぜワイキキ店は人気を集めているのだろうか、その秘密に迫ってみた。
ジョギング中に決めた
ご存じの方も多いかもしれないが、丸亀製麺がハワイに出店したのは、ちょっとした“偶然”である。トリドールの粟田貴也社長がワイキキの中心部をジョギングしていたときに、たまたま空き物件の前を通りかかった。その店舗を見たとき、粟田社長は「ここ、ええなあ。ここに丸亀製麺を開こう」と言ったそうで。
丸亀製麺はそれまで海外に店を構えたことがない。にもかかわらず、「これだけ人があふれているんだから、日本食、うどんが入り込む余地は必ずある」と確信したそうだ。そこにはデータもなければ、分析もなく、コンサルに相談したわけでもなく、直感だけで決めた。マーケティングの教科書には書かれていないような形で、丸亀製麺の海外1号店は、ハワイのワイキキに決まったのである。
店内の様子はどうなっているのだろうか。厨房での工程は、日本の店と全く同じである。ハワイにも製麺機を持ち込んでいて、実演販売をしている。ガラス越しに、生地を手際よく伸ばしていたり、天ぷらを次々に揚げていたり、大きな釜でうどんを茹でている姿を見えるようにした。
丸亀製麺に何度も足を運んだ人にとっては、見慣れた光景だと思うが、外国人にとってはちょっとしたアトラクションを見ているように感じるのかもしれない。厨房で働いているスタッフをじーっと見ている姿もちらほら。ちなみに、客層は米国の本土からが5割、中国・韓国からが3割、日本からは1割ほど。観光客が9割を占めていて、現地の人は1割ほどだという。
ところで、人気のメニューは何だろうか。日本の店と同じような雰囲気でつくっているわけだが、気温が高いので「ざるうどんが人気なのかな」と思いきや、最も売れているのは「肉玉うどん」、次いで「カレー肉玉うどん」。どちらもアツアツの商品であるが、味付けは変えている。「ハワイでおいしく食べられるように、カレーうどんのスパイスは多めにしています」(ハワイ担当の石原鉄也さん)
こうした工夫はハワイの店だけでなく、他の国でも同じようなことをしている。現地でおいしく食べられるように試行錯誤を重ねて、人気メニューだけが残っているようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
なぜ「時速5キロの乗り物」をつくったのか 動かしてみて、分かってきたこと
時速5キロで走行する乗り物「iino(イイノ)」をご存じだろうか。関西電力100%子会社の「ゲキダンイイノ」が開発したところ、全国各地を「のろのろ」と動いているのだ。2月、神戸市の三宮で実証実験を行ったところ、どんなことが分かってきたのだろうか。
「東京チカラめし」が香港で大当たり! 想定の2倍で売れている理由
かつてブームを起こした牛丼チェーン「東京チカラめし」が、香港に進出している。2021年6月に1号店をオープンしたところ、連日行列ができるほどの盛況ぶり。日本での店舗数は激減したのに、なぜ香港でウケているのだろうか。
なぜ群馬に“謎コンビニ”ができたのか ゼンショー「実験店舗」の正体
ゼンショーHDが群馬県内で展開しているコンビニ「さくらみくら便利店」が話題になっている。コンビニ業界は寡占化が進んでいるのに、このタイミングで参入して存在感を示すことができるのだろうか。
「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。



