山崎直子さんに聞く日本のスペースポートの展望 アジアの宇宙輸送のハブを目指す:北海道から宇宙へ(2/4 ページ)
日本各地のスペースポートは、将来的にはアジアにおける宇宙旅行も含めた宇宙輸送のハブになることを目指す。この動きをバックアップするのが一般社団法人Space Port Japanだ。山崎直子代表理事に日本のスペースポートへの期待や課題を聞いた。
北海道は統合型のスペースポート
スペースポートの整備は、2021年から本格的に動き出した。4月には北海道スペースポート(HOSPO)が北海道大樹町に国内で初めて稼働。大樹町はホリエモンこと堀江貴文氏が創業した宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズ(IST)が拠点にしていて、7月にHOSPOにあるIST専用の射場で打ち上げられた2機の観測ロケットは、いずれも宇宙空間に到達した。
また、1000メートルの滑走路で民間企業や大学の航空宇宙実験が実施されているほか、将来的にはIST以外の企業も使える垂直打ち上げ型の射場と、スペースプレーンの打ち上げもできる3000メートルの滑走路も整備する計画だ。山崎氏はHOSPOへの期待を次のように語った。
「大樹町は30年以上前からスペースポートの構想を持っていました。もともとJAXAの実験場があり、ISTが設立されてからはロケットの打ち上げを実施しています。先人の積み重ねと新たな取り組みが合わさった貴重な場所ではないでしょうか。大樹町は晴天になる率が高い地域で、東側と南側に海が開けている点でもロケットの打ち上げに適しています。
打ち上げた人工衛星の利活用についても、北海道のポテンシャルは大きいです。空から写真を撮影して観測するセンシングは、広い土地でも一度でできる点で人工衛星の優位性が高く、コメの生育の観測などがすでに実施されています。ほかにも衛星のデータを使って農機を自動運転する実証実験など、いろいろな取り組みが展開されています。
ロケットの実験から打ち上げ、それに人工衛星の利活用まで一貫してできるのはHOSPOの強みです。HOSPOを運営し、宇宙ビジネスを支えるSPACE COTANも立ち上がって、宇宙版シリコンバレーの形成も進められています。北海道は宇宙ビジネスが発展する可能性を秘めていると思います」
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