山崎直子さんに聞く日本のスペースポートの展望 アジアの宇宙輸送のハブを目指す:北海道から宇宙へ(3/4 ページ)
日本各地のスペースポートは、将来的にはアジアにおける宇宙旅行も含めた宇宙輸送のハブになることを目指す。この動きをバックアップするのが一般社団法人Space Port Japanだ。山崎直子代表理事に日本のスペースポートへの期待や課題を聞いた。
22年は各地のスペースポートで打ち上げ開始
北海道以外でも、22年はスペースポートの動きが活発になる。和歌山県串本町で整備中のスペースポート紀伊では、キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行が出資するスペースワンが22年度中の垂直型ロケットの打ち上げを計画している。
大分県の大分空港でも、ヴァージン・オービットがANAホールディングスと提携して、航空機で高度10キロまで運んだところでロケットを切り離す水平型のロケットの打ち上げが始まる。小型人工衛星を乗せたロケットが、22年からの10年間で20回打ち上げられる予定だ。
沖縄県の下地島空港でも、3000メートルの滑走路で空港兼スペースポートの建設が進められている。名古屋市のPDエアロスペースがスペースプレーンを開発中で、22年中に宇宙空間飛行を、25年までに有人宇宙飛行の実現を目指す。
ほかにも国内では50社を超える宇宙産業のスタートアップが立ち上がっている。今後も増えていくことが予想されるものの、懸念されるのは人材の確保だ。人材育成の面でもスペースポートの活用が期待されている。
「スタートアップのみなさんは人材の確保に苦労していると聞いています。各社とも海外から多くの人に来てもらっているのが現状です。今後を考えれば、日本でも宇宙に関わる人材をもっと育てていく必要があります。大学も1つの場ですが、実践的で短期間でも効率よく学べる場ができてくるといいなと思っています。
その際にスペースポートの各施設は、教育の拠点になりうる場所です。全国には科学館などが整備されていますが、高校生や大学生が実践的に学べる場所は少ないです。スペースポートが見学やインターンを受け入れることで、若い世代が興味を持ち、実績も積める場になってほしいですね」
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