BANK Payっていったい何だ? 単なるQRコード決済ではないその秘密:金融ディスラプション(1/3 ページ)
BANK Payというサービスをご存じだろうか? よくある説明だと、「PayPayのようなQRコード決済の1つ。ただし、利用すると銀行口座から即座に料金が引き落とされる」なんて書かれている。これは間違いではないが、BANK Payの一つの側面しか見ていない。
BANK Payというサービスをご存じだろうか? よくある説明だと、「PayPayのようなQRコード決済の1つ。ただし、利用すると銀行口座から即座に料金が引き落とされる」なんて書かれている。
これは間違いではないが、BANK Payの一つの側面しか見ていない。BANK Payは確かにQRコード決済サービスではあるが、PayPayなどと競合しようとは思っていないのだ。その実態とは何か。
コード決済の「法人向け」という側面
まずはコード決済の中で、どんな企業がどんな役割を果たしているのかを確認してみよう。お金の流れに沿って見ると、銀行口座やクレジットカードを使って、コード決済アプリに残高がチャージされ、それが店舗で使われると店舗の銀行口座に入金される。これが、さまざまなコード決済サービスの流れだ。
ここには「チャージ」と「決済」の2つがあることに注目したい。華やかなのは決済の部分だ。数多くのキャンペーンが実施され、店舗に行けばのぼりやポスターが貼られて「このコード決済を使うとお得ですよ」とアピールされている。決済に使ってもらえばもらうほど、加盟店と呼ばれる店舗から手数料が入ってくる仕組みだから、利用促進は売り上げに直結するのだ。
一方で、地味ながら大きな問題なのがチャージだ。コード決済を使うにはチャージしなくてはならないが、これにはコストがかかる。クレジットカードからチャージすれば、加盟店となるのはコード決済事業者。つまり決済手数料を払わなくてはならない。銀行からの口座振替にしても同様だ。
つまりチャージは純粋なコストであり、いかにこれを抑えるかがコード決済事業者の腕の見せどころでもある。そのため、PayPayのようにグループのクレジットカードにだけ優遇特典を付けたり、そもそもクレカチャージに対応しないメルペイのようなサービスもあるわけだ。
では翻って、BANK Payはどうか。BANK Payは即時決済でチャージという概念はないが、銀行から資金を移動できるという点では同じだ。ならば、コード決済事業者のチャージ手段としてBANK Payを提供したらどうか。この「法人向け」があるのが、ほかのQRコード決済とは一線を画す、BANK Payの特徴だ。
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