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EVは電力不足の敵か救世主か 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/4 ページ)

日本の電力供給体制の脆弱性を明らかにした昨日の電力ひっ迫。ここで気になるのがEVという存在です。電気で走るEVはどのような存在になるのでしょうか。ポジティブなのか、はたまたネガティブなのか?

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EV1台で、世帯5日分の電力を消費

 まず、簡単に考えれば、ネガティブな意見が出てくるはず。電力供給が不安定なのに、電気を大量に消費するEVが増えれば、さらに脆弱性が大きくなるのは自明の理です。

 なんといってもEVが使う電力は膨大です。日本で最も数多く売れているEVの日産「リーフ」でいえば、搭載する電池は最大で62kWh。一方で、環境省が発表した令和2年度の1世帯あたりの年間エネルギー消費量は、電気で4258kWh。1日あたりでいえば、約11.7kWhとなります。

 つまり、「リーフ」1台をフル充電させると、一般家庭5日分の電力を使うことになるわけです。


日産は、リーフの62kWhのバッテリーが家庭の4日分の電力に相当するとうたっている

 しかもリーフは、欧米製のEVと比べれば電池の量は少なめです。欧米製のEVはもっとたくさんの電力を必要とします。リーフの電池の1.5倍となる90kWh級のEVがゴロゴロしているのです。そんなEVが普及すれば、必要な電力は、これまでとは比べものにならないほど大きなものとなるでしょう。その結果、今回のような停電騒ぎは、もっと頻発するかもしれません。

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