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くら寿司の「AI桜鯛」が好調 なぜ「スマート養殖」にチカラを入れるのか:魚の食欲を解析(2/5 ページ)
くら寿司は3月11日に、AIやIoTを活用したスマート給餌機を使って成育した「AI桜鯛」を発売。3月15日までの期間限定販売だったが、一部の店舗では予定より早く完売した。同社では、この実証実験の結果を踏まえ、6月からスマート養殖に本格参入するという。その狙いとは……。
遠隔でのエサやりに、魚の食欲解析もできる
くら寿司では、21年4月からスマート養殖の実証実験として、愛媛県内で真鯛の委託養殖を開始。1年ほど育てたあと、その真鯛を使用した商品「AI桜鯛」(1貫:110円)を22年3月に全国の店舗で発売した。
この実証実験では、スタートアップのウミトロン社が開発したスマート給餌機「ウミトロンセル」を採用。最大3日分のエサを貯蓄することができ、スマートフォンなどのデバイスを用いて遠隔でエサやりができる。魚がエサを食べる様子をデバイス上で確認することも可能だ。
「漁業において、エサやりは非常に重労働です。真鯛の場合、1日に2〜3回生けすに足を運び、エサをあげる作業が必要になります。タイマー式の給餌器を使用するケースもあるようですが、私が愛媛の現場で見たのは、生産者が直接足を運ぶ方法でした」(くら寿司 小坂氏)
さらに、魚の食欲解析をするAIも搭載する。生産者の代わりに、AIが魚のエサへの食いつき状態をチェック・判断し、エサやりを止めたり、エサの量を調整したりといった自動制御ができるという。
「食欲解析機能はウミトロンセルが強みとする機能で、養殖にかかるコストの約6割を占めるエサ代の削減が見込めます。また、魚が食べなかったエサが海に流れ出ることを防ぎ、環境に配慮した養殖を実現します」(ウミトロン 佐藤氏)
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