10万円もする「iPhone13 mini」がなぜ1円? そのカラクリを解明する:房野麻子の「モバイルチェック」(2/3 ページ)
新生活が始まる春は、スマホが年間で最も売れる季節といわれる。最近は量販店で「iPhone 13 mini」や「iPhone 12 mini」が「実質23円」や「一括1円」と表示されていて話題になった。なぜ10万円もするiPhone13 miniの販売価格が1円となるのか?
なぜ2万2000円以上の割引に?
こうした規制の結果、現在、端末の割引は2万2000円までとなっているはずだ。では、なぜ10万円もするiPhone13 miniの販売価格が1円となるのか。
これは、キャリアが提供する「端末購入補助プログラム」と、通信契約に伴う割引「2万2000円」「店舗独自の値引き」を組み合わせることで実現されている。
端末購入補助プログラムとは、ドコモは「いつでもカエドキプログラム」、auは「スマホトクするプログラム」、ソフトバンクは「新トクするサポート」、楽天モバイルはiPhoneのみだが「iPhoneアップグレードプログラム」として提供されているものだ。
これらは、端末購入時に48回の分割払いを基本とし、24回分の分割支払い金を払った後、端末をキャリアに返却すると、残りの支払いが免除されるというものだ(一部、残価設定型契約を採用しているキャリアもある)。実質的には2年間のレンタルとなるわけだが、これらプログラムを利用すると、支払う金額はキャリアの端末価格の約半額になる。
そこに、MNPを利用して契約すると、これは回線契約を伴うので最大2万2000円の割引が適用になる。さらに、回線契約を伴わない端末の販売は単純に物販と考えられ、特に制限がないので、店舗独自の値引きは2万2000円以上の割引が可能になる。
筆者が訪れた量販店では、ドコモのiPhone 12 miniが「実質23円」で販売されていたが、以下のような価格と割引の構造になっていた。
割引適用前価格11万88円
ーMNP特典(回線契約を伴う割引)2万2000円
ー機種購入特典(店舗独自の値引き)3万5265円
ー24回目の分割支払い金(いつでもカエドキプログラムの残価)5万2800円
=23円(端末を返却することが条件の実質負担額)
なお、店舗独自の値引きは、回線契約をせず端末のみ購入する際にも値引きされるが、端末のみ購入する場合は当然、MNP特典の2万2000円の割引は付かない。
また、端末の割引適用前価格が5万円前後なら、MNP割引と、同レベルの店舗独自の値引きが受けられれば限りなく0円に近づく。最新の「iPhone SE(第3世代)」が一括1円で販売されている店舗も存在するのはそのためだ。
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