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10万円もする「iPhone13 mini」がなぜ1円? そのカラクリを解明する:房野麻子の「モバイルチェック」(3/3 ページ)
新生活が始まる春は、スマホが年間で最も売れる季節といわれる。最近は量販店で「iPhone 13 mini」や「iPhone 12 mini」が「実質23円」や「一括1円」と表示されていて話題になった。なぜ10万円もするiPhone13 miniの販売価格が1円となるのか?
端末単体の販売、割引の拒否も
こうしたカラクリで人気のiPhoneが非常に安価で手に入るわけだが、問題もある。総務省は、3月14日に開催した「競争ルールの検証に関するワーキンググループ」(第26回)に合わせて、「携帯電話販売代理店に関する情報提供窓口」に寄せられた通報を一部公開した。
通報は「通信料金と端末代金の完全分離」違反に関する情報が394件で、全体の56.2%を占めた。店舗での端末の単体販売拒否、利益提供の上限超過疑義に関するものが多かったという。これらは当然、問題とされ、指導や何かしらの対策が行われるだろう。
法改正で割引は規制されたが、隙を突いて安くする「工夫」にはいつも驚かされる。最大の商戦期に、契約者を増やしたいキャリア、売りたい店舗、安く買いたいユーザーの思いが一致して、官庁が定めた規制をあっけなくなぎ倒しているように感じられる。
筆者プロフィール:房野麻子
大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、『ITmedia Mobile』などのWeb媒体や雑誌で執筆活動を行っている。最近は『ITmedia ビジネスオンライン』にて人事・総務系ジャンルにもチャレンジしている。
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