レトルト食品界の王様「ボンカレー」 技術革新を重ねても唯一、”変えなかったこと”は?:レトルト大好き! K記者がフカぼった(2/3 ページ)
われわれの生活に欠かせない「レトルト食品」。1968年、大塚食品が世界で初めて市販用レトルト食品「ボンカレー」を開発したことからその歴史は始まった。レトルト食品が”当たり前”になるまで、どのような技術革新があったのか? また、数多のアップデートを重ねても唯一、変わらなかったこととは?
賞味期限が2年に! 全国デビューを果たす
阪神地区では販売を始められたものの、衝撃に弱いなど半透明パウチは多くの問題を抱えていた。全国展開に向けて、包材メーカーと協力し、ポリエチレン、アルミ、ポリエステルの3層構造パウチを採用。業界に先駆けて、光と酸素を遮断するアルミ箔を用いた「アルミパウチ」によって、強度や賞味期限が劇的に改善された。
流通過程での破損も減り、大量陳列も可能に。賞味期限は2年に延びた。とうとう1969年に全国デビューを果たす。「よーし! 課題はクリアしたし、ガンガン売っていくぞ!」と意気込んでいたものの、発売当初の世間の反応は冷ややかだった。
それもそのはず、消費者は「保存料を使っていない、3分で食べられるおいしいカレー」なんて「作れるはずがない」と思っていたのだ。また、値段もネックとなった。素うどん50円の時代に、”よく分からないカレー”に80円も払う消費者は少なかった。
同社の製品部 伊藤征樹氏は当時の値段設定について「街の食堂のカレーは100円程度でした。ボンカレーは、当時は高級品だった牛肉も使用していました。包材コストなども考慮したら、80円はそこまで高くない価格だったと思います。もちろん、”手軽に買える値段”でもなかったと思いますが」と話す。
そこから営業活動や広告宣伝を通じて徐々に消費者に浸透させていく。1973年、年間販売数量1億食を突破した。78年には「ボンカレーゴールド」を発売。その後も、内容量を増やしたり、味のレパートリーを拡充したりと消費者のニーズに応え、ファンを増やしていった。
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