最大3カ月待ち! 冷凍パンのサブスクが右肩上がりに伸びるワケ:新たなパンの経済圏(6/6 ページ)
独自の冷凍技術を使った「冷凍パン」の宅配サービスが、最大3カ月待ちの人気となっている。2017年に創業したパンフォーユーは、新たなパンの経済圏を生み出しているそうだが、具体的にどんなことをしているのだろうか。同社の矢野健太社長に聞いた。
「冷凍はまずい」「面倒」、イメージ払拭が壁
既出のとおり、同社の冷凍技術では、常温で1日焼いたパンと同等、あるいはそれ以上の品質を維持できることが分かっている。とはいえ、パン屋の中には「冷凍はおいしくない」「手間やコストがかかる」というイメージを持つ人がいるという。
「当社の冷凍技術では、コストのかかる瞬間冷凍機を購入する必要はありません。保存は、家庭用の冷凍ストッカーで十分です。味に関しても、比較テストで品質の高さは証明できています。しかし、冷凍パンに関してネガティブなイメージを持つ方は少なくなく、啓蒙(けいもう)の必要性を感じています」(矢野氏)
このような背景もあり、パンフォーユーでは冷凍業界の活性化を目的に「フローズンエコノミーラボ」を発足。「冷凍食品はおいしくない、体に悪い」といった一部消費者の認知に対して、正しい認知を拡大する啓蒙活動を行っている。味の素冷凍食品、KDDI、敷島製パンなどの事業者が参加するほか、特別パートナーとして農林水産省も参加している。
「2017年の創業から5年強が経ち、提携パン屋数は100店舗に拡大。冷凍パンや地域のパンの市場が拡大している手応えがあります。しかし、個人向けサービスで供給が追いついていないように、今の課題は提携パン屋数をどう増やしていくか。冷凍を導入することで、従来の朝早い働き方が柔軟になるというメリットもあり、そういった点も伝えていきたいですね」(矢野氏)
パンフォーユーでは、21年12月から「全国パン共通券」の販売も開始。提携する500店舗のパン屋で使える電子チケットで、ギフトを中心に少しずつ販売数が伸びているそうだ。
また、3月25日からは、糖質15グラム以下のオリジナル冷凍パンブランド「まいパン」の発売がスタートしたばかり。まずは5種類10個入の製品(3450円)をAmazonで販売、その後、「パンフォーユー オフィス」や「パンフォーユーBiz」でも展開するという。
「パン屋さんの店頭ではないところで売り上げを上げるのが、当社の価値。売り上げを安定させるだけでなく、店舗運営など経営課題を解決できるソリューションを提供し、パン屋さんにとって困ったら相談してもらえるような存在にりたいと思っています」(矢野氏)
写真提供:パンフォーユー
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