最大3カ月待ち! 冷凍パンのサブスクが右肩上がりに伸びるワケ:新たなパンの経済圏(5/6 ページ)
独自の冷凍技術を使った「冷凍パン」の宅配サービスが、最大3カ月待ちの人気となっている。2017年に創業したパンフォーユーは、新たなパンの経済圏を生み出しているそうだが、具体的にどんなことをしているのだろうか。同社の矢野健太社長に聞いた。
独自の「冷凍技術」は偶然生まれた
パンフォーユーのサービスにおいて肝になるのは、パンのおいしさを維持できる冷凍技術といえる。同社の独自技術で冷凍し30日が経過したパンと常温保存で1日経過したパンを比較した調査では、冷凍パンの糊化(こか)度、水分量が常温と同等、または上回る結果に。糊化度の維持は、デンプンの老化を抑えて、もっちりふわふわした食感の維持につながるという。
よく「瞬間冷凍することで、おいしさを維持できる」と聞くが、パンフォーユーでは、瞬間冷凍を用いず、パンを入れる「袋」と「冷凍手順」にオリジナル性があるそうだ。
「実は、当社の冷凍技術は偶然の産物なんです。オーダーメイドパン事業から現在のビジネスモデルに切り替えるにあたり、仕入れていた保存袋が大量に余ってしまい、それをパン屋さんに使ってもらったところ、偶然おいしく冷凍できました。現在、この冷凍技術は国際特許を出願中です」(矢野氏)
最初にこの話を聞いたとき、やや混乱したため、説明を追加する。最初のビジネスモデルでは、パンメーカーのメインではない製造ラインを使うことになり、袋詰作業を自前でやることになったそうだ。そこで、自前で袋を購入して使っていたが、ビジネスモデルを切り替えることになり、袋の在庫を抱えてしまった。その袋を使って別のパン屋に冷凍してもらったら、たまたまおいしく冷凍できた、という流れだ。
矢野氏に冷凍関連の深い知見があったわけでもなく、専門家と研究開発したわけでもなく、特許を出願するほどの独自技術を発見したというのは驚きだ。
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