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年間20万パック 一風変わった「レトルトカレー」でヒットを連発する企業の正体は?レトルト大好き! K記者がフカぼった(2/3 ページ)

成城石井など有名企業のレトルト食品製造を手掛ける「にしき食品」をご存じだろうか。同社は、年間に4000回ほどレトルト食品の試作を行うが、そのなかで新商品として世に出る割合はたったの約1.5%だという。有名企業が「名指し」で依頼する同社にどんな魅力があるのかというと……

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どうやって差別化するの?

 にしき食品はレトルト食品の中でもカレーを得意としていて、その数は280種類に上る。膨大なラインアップと質を担保するために、2010年から毎年、商品開発部の社員が本場・インドに研修に飛んでいる(近年は新型コロナウイルスの影響で実施していない)。

 「現地の料理教室やレストランを巡る研修です。カレーの聖地、インドの中でも地域によって味はさまざま。クリーミーな味わいやスパイスが効いたものなど日本人の口に合うインドカレーを学ぶだけでなく、スパイスの使い方なども勉強します」(営業本部 菅野有紀さん)

カレーを学びに2010年からインドで研修を実施している

 カレーは国民食の地位を確立している日本の人気食だ。スープカレーやスパイスカレーなどのバリエーションの多さにとどまらず、アレンジ性も高い。その分、競合が多いのもうなずける。インド研修は「独自の味を追求する」目的で実施している。大きな市場で企業や消費者に選ばれ続けるためには、常に新しいおいしさを提供し続ける必要があるのだ。

 もちろん、原材料にもこだわる。水は、塩素を排除した“純度の高い水”を使用している。パート社員が「会社の水はカルキ臭くて飲めない」と言ったことがきっかけになったという。社員も飲めないほどのおいしくない水で製品を作っていたので、急きょ、専用の浄水システムを導入した。


大きな製造釜でカレーをつくる

 一つ気になりだすと、他も気になる。「次は塩だ!」と、今まで使っていた塩から天然塩に変更。甘味が強い塩、まろやかな塩など3種類の塩を製品に合わせて使い分ける徹底ぶりだ。素材の味わいを生かすために味づくりのベースである水と塩から改革に取り組んだという。そのほか、オリジナルのカレーリーフの栽培など生産者と密に連携し、商品の価値を高める工夫を施している。

 「素材へのこだわりやインド研修が当社のブランド強化につながっています。年間4000回に上る試作品開発も全てレシピとしてストックしています。そのため、取引先からの『こういうレトルト食品を作りたい』というお題に対して、幅広い提案ができていると感じます」(菅野さん)

 差別化戦略が功を奏し、順調に取引社数を増やす同社だが、課題もあるという。

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