“恐竜”が出迎えるイトーヨーカ堂の新フロアが面白い! エンタメは大型商業ビジネスの切り札となるか:磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)
住みたい街ランキングの上位にランクインしたこともある「武蔵小杉」にある商業施設「グランツリー武蔵小杉」。そこで今、子どもたちを夢中にさせている売り場がある。2021年11月に登場した「TOYLO PARK(トイロパーク)」だ。
「武蔵小杉」と「大和鶴間」の共通点は?
トイロパークを導入した武蔵小杉と大和鶴間にはいくつかの共通点と微妙な違いがある。大きな共通点として、交通の要所として人気の高いエリアだといえる。武蔵小杉はJR横須賀線・南武線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線の2社5路線に相鉄・JR直通線が加わり6路線が交わる。
大和市には3つの鉄道(小田急江ノ島線、東急田園都市線、相模鉄道本線)が乗り入れ、8つの駅が配置されている。各駅からの1キロ圏内には市域の71%が含まれ、そのエリア内に市民の約80%が居住している。
それぞれのエリアの人口動態をまとめた別表をご覧いただきたい(武蔵小杉は川崎市中原区、大和鶴間は大和市として参照のこと)。少子高齢化とともに人口減少が全国的な課題となる中、両エリアとも都心のベッドタウンとして人口増加を果たし、20万人以上を擁する中都市クラスの規模感がある。小売業者にとっても魅力的な商圏に映る。
しかし、年齢構成表の中身を細かく探っていくと両エリアの違いが見えてくる。武蔵小杉は25〜34歳の世代を除き、ほぼ全ての世代が増加しているのに対し、大和市は世代の増減に偏りが認められる。
推察するに、武蔵小杉は14年頃からの駅周辺の再開発によって、タワーマンションが屹立。35〜54歳の働き盛りのパワーカップル(夫婦とも働きで世帯年収が1000万円を超える夫婦)による人口増加で、単身あるいは夫婦のみ、出産・子育て世代が多いのだろう。
大和市は、大人世代の増加年齢が40〜59歳と武蔵小杉に比べ高い。また10歳未満の子どもは減少傾向にある。大和市の人口増加の中心世帯像は、単身あるいは子どものいない世帯、10〜19歳の少し大きくなった子どものいる世帯が多いと考えられる。
これだけ見ると、トイロパーク2店舗の市場としての相性は、武蔵小杉の方がベストマッチングしているような気もする。イトーヨーカドー大和鶴間店は、南北に細長い大和市のやや北に位置しているため、隣接する綾瀬市、座間市、横浜市瀬谷区からの中間移動人口の動態も加味しなければならないと思う。
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