“恐竜”が出迎えるイトーヨーカ堂の新フロアが面白い! エンタメは大型商業ビジネスの切り札となるか:磯部孝のアパレル最前線(4/4 ページ)
住みたい街ランキングの上位にランクインしたこともある「武蔵小杉」にある商業施設「グランツリー武蔵小杉」。そこで今、子どもたちを夢中にさせている売り場がある。2021年11月に登場した「TOYLO PARK(トイロパーク)」だ。
週末家族にどう対応するかがカギ
横浜、川崎を中心に子ども向け情報を発信している「ビタミンママwithファミリー」が、小学生以下の子どもを待つ101人を対象に実施した調査では、「週末は家族でどのように過ごしたいか」との質問に、約20%が「ショッピングセンターやデパートに行く」と回答していた。
共働きが標準となっている現在は、平日は子どもを保育園に預け、週末は家族水入らずの時間を楽しむ“週末家族”が増えているのだろう。
ネット通販も併用しつつ、週末のまとめ買いついでに子どもを遊ばせることができる施設は、親たちにとってありがたい場所だ。
グランツリー武蔵小杉には、屋上に「ぐらんぐりんガーデン」という庭園もあり、トイロパークの真反対には「アカチャンホンポ」、その間には専門店とフードコートを構え、食事までできる環境を整えている。週末家族にとって一日中楽しめる場所にトイロパークというエンタメ寄りのエリアが新たに加わったという感じだ。
セブン&アイHDは21年11月、大阪府松原市に「セブンパーク天美」をオープンさせた。この施設も商業とエンタメを融合させた複合施設だ。その一方、東京・お台場の商業施設「ヴィーナスフォート」は3月27日に営業を終了。22年の歴史に幕を下ろした。
楽しさを前面に出せるエンタメは、集客力としては強力だろう。しかし、飽きさせないための話題作りやリピートしたくなるような仕掛けといったノウハウが求められる。新たに創り上げていくことよりも維持・継続させていくほうが難しい。
待ったなしの構造改革を迫られているセブン&アイHDにとって、エンタメとの融合スタイルが大型商業ビジネスの切り札となるのか、注目したい。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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